軽さと強さ、杜氏2派の融合 富山・若鶴酒造苗加屋

2021/10/17
「若鶴」(右)は軽い飲み口、「苗加屋」は甘さとキレのよさが特徴だ

富山県西部の田園地帯は、白山水系の庄川の伏流水に恵まれた銘酒の産地だ。1862年創業の若鶴酒造(砺波市)は、酒蔵では珍しく日本三大杜氏(とうじ)のうち2派の酒造りを受け継ぐ。軽い飲み口の酒を造る新潟の越後杜氏と、ガツンとくる強い味を醸す岩手の南部杜氏。2流儀の融合から多彩な酒を生み出す。

JR城端線の油田(あぶらでん)駅を降り、歩いてすぐの場所にある若鶴酒造の本社。敷地内に立つ「昭和蔵」はかつて、内部が2つに分かれていた。1つは越後杜氏が使う「鶴庫(くら)」、もう1つは南部杜氏の「松庫」だ。

蒸した米の温度を均一にする工程。この後、麴菌を振りかけ、日本酒のもとになる麴をつくる

切磋琢磨(せっさたくま)してこそいい酒ができる――。1959年、2派の杜氏に競わせる酒造りを始めたのは、現オーナー家2代目の稲垣小太郎氏だった。小太郎氏は戦後すぐにウイスキーに参入するなど挑戦心旺盛だった。本業の日本酒でも、他の酒蔵とは違う手を試したかったのか。