デジタル投資の必要性説得

「監査業務の責任者であるパートナーが集まるミーティングも、私が理事長になる前は四半期に1回程度でしたが、隔週実施に増やしました。どんな質問もウエルカムだと言っています。何を言っても大丈夫という雰囲気を広げるためです」

職場の女性活躍推進ネットワークで相談を聞き助言する片倉氏㊥(2018年)

――今後の監査競争力のカギを握るデジタル化では大型投資を続けています。

「各国EYメンバーが資金を出して作る共通ツール以外に、日本独自で毎年数十億円を投資しています。IT(情報技術)人材も増やしています。監査はそう簡単に売上高を増やせないので、場合によっては待遇面でパートナーには泣いてもらわないといけないかもしれない。でも今投資しておかないと将来はない。そう話しています」

「反対だ、難しいという意見もありましたが、的確な指摘はありがたいものです。施策を直し丁寧に説明することで『暫定OK』も含めてなんとか納得を得られたと思います。監査品質を維持しながらいかに無駄を省くか、現場の人たちが自分のこととして動いてくれて、なんとか給料は削らずにやれています」

――デジタル活用は現状どれくらい進んでいますか。

「不正検知など分析ツールは精度が毎年高まっています。省力化では、監査手続きを記録しておく監査調書を自動的に記述できる範囲も広がってきています。例えばどんな業種でも固定資産は取得から償却、廃棄まで流れが決まっているので、顧客からデータをもらったら標準的なフォームに沿って調書がある程度できるようにしました」

「将来目指すのは、企業のデータベースと我々の監査システムが常につながり、毎日自動で監査する姿です。標準的なソフトを使いビジネスのデジタル化をしている企業とのパイロット案件が数件できています。全部の顧客に広げるのは、10年はかかるでしょう。今は3~4合目という感覚です」

次のページ
良い情報うのみにせず