職場の安心感作りに腐心

「4人の組み合わせも視察先もまったく自由。新型コロナウイルス禍になるまで年間120人は研修に出ていたので、5年で全社約600人が一巡するペースです。これで作り手と売り手の意識がグッと近づき、活気が出てきました。業績も上向き、社内で結婚・出産ラッシュが起きたほどです。社員の気持ちが前向きになった証拠でしょう」

――インテグラルは少数精鋭のプロ集団。統率するのにどんな苦労がありますか。

「金融、商社、IT(情報技術)、弁護士、公認会計士などを経験した約70人の多才なタレント集団なのでプライドも高いし、個性派も多い。そのまま放置していたら遠心力が働きかねません。そこで大切にしているのが各社員の心を親身になってケアすること。単純なことかもしれませんが、温かみがあり、安心感が持てる職場だからこそ、初めて個々の社員の能力をうまく引き出すことができる」

「実は私自身も周囲に救われた経験があります。01年に妻をがんで失い、子供を抱えてシングルファーザーをしていました。その際、保護者仲間に応援してもらったし、会社の先輩・後輩や同僚たちにも温かく励ましてもらった。その恩は生涯忘れられません。その後、私は再婚して家族にしっかり支えてもらっています。所詮、人間は1人では生きていけない。1人でできることも限られている。そんな人生観も私のリーダー論に大きく影響しています」

(編集委員 小林明)

一橋大で山岳部に所属
やまもと・れいじろう 1960年大阪府生まれ。一橋大経済卒、84年三井銀行(現三井住友銀行)入行。91年社費留学により米ペンシルベニア大学のウォートン校で経営学修士(MBA)、ローダー研究所で国際関係論修士(MA)取得。
ユニゾン・キャピタル、GCAなどを経て、2006年インテグラル共同設立、代表取締役パートナー就任(07年稼働)。
小中高はサッカーに熱中。大学では「自然に向き合いたい」と山岳部に。人生に必要な多くのことを山登りから学んだ。
■お薦めの本
「比喩表現辞典」(中村明著)
古今の名作に使われた約7000の比喩表現を紹介した辞典。「人の心を動かす言葉」を磨くために大学時代から愛読してきました。読み物としても楽しい。プレゼンや商談などにも応用できます。

[日本経済新聞夕刊 2022年1月6日付]

「私のリーダー論」の記事一覧はこちら

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら