昨今盛り上がりを見せるアウトドアブームが火をつけたのか、石油ストーブが売れている。中でも、昔ながらの対流形ストーブの売れ行きは右肩上がりで、メーカーのオンラインストアでも完売状態が続いている。必需品から嗜好品に変わりつつある石油ストーブのカラーリングについて、既存モデルの色を変えてヒットを生み出す2社に聞いた。

ギアミッションシリーズの対流形ストーブKS-GE67のコヨーテブラウン。3万6850円(税込み、以下同)
ギアミッションシリーズの対流形ストーブKS-GE67のコヨーテブラウン。3万6850円(税込み、以下同)

 2021年8月、季節家電メーカーのトヨトミ(名古屋市)が新商品を発表した。19年から販売する石油ストーブを主軸とする「ギアミッション」シリーズに、石油ストーブの新色「コヨーテブラウン」と周辺アイテムを追加したのだ。新色のコヨーテブラウンは20年に「2020Edition」として数量限定で発売したところ要望が多く、予約生産商品としてラインアップに加えた。

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 ギアミッションシリーズのコンセプトは「遊びも暮らしも妥協しない大人たちへ」で、コヨーテブラウンと「オリーブグリーン」という2色で本体色を統一している。オリーブグリーンは、「存在感のある深い色味が、武骨さやタフさ」を表現し、コヨーテブラウンは、「柔らかく落ち着いた印象を与える。自然が持つ色合いを生かしたアースカラーは、あらゆる空間に調和する」と解説している。

 ギアミッションシリーズの石油ストーブは、同社が従来販売してきた商品のガードやねじを一部変更した色替えモデルだが、石油ストーブの武骨さやタフさを引き立てるこれらのカラーリングによって、アウトドア好きやキャンプ好きに訴求。石油ストーブは、屋外など風が当たる場所では使用できないが、アウトドアの趣味を持つ人々が家庭内で使いたいと思える商品を目指している。

対流形は20年比で170%の販売台数を記録

 ギアミッションシリーズの石油ストーブには、スクエア形の反射形ストーブ「RS-GE23」と円筒形をした対流形ストーブの2種類がある。より人気が高いのは対流形ストーブのほうで、暖房出力が高い「KS-GE67」と、ストーブの炎がガラスに7色に映り込むレインボーストーブ「RR-GE25」の2モデルがある。このうち、KS-GE67のほうが売れている。

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 トヨトミの対流形ストーブの販売台数は近年増加しており、21年4~10月の対流形ストーブの販売台数は前年同期比176%となった。現在、トヨトミのオンラインストアでは、ギアミッションシリーズの石油ストーブは、対流形も反射形もどちらも在庫切れ。既存商品の色を変え、世界観とともに打ち出すことで、新たな需要を確実につかんでいる。

 1949年に創業し、「心も暮らしもあたたかく」をコンセプトに掲げるトヨトミは、石油燃焼機器に強い季節家電メーカーとして、「トヨストーブ」の愛称でも知られている。炎による暖房パワーや、灯油が燃えることで発生する水蒸気によって、エアコンとは異なる暖かさを感じられるのが石油ストーブのメリットだという。

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