洗濯のキホン 絵表示、製法…まず確認で洗い方を判断

日経プラスワン

洗濯する前にまずは服の特徴や状態を見極めるのが大事だと訴える中村さん(写真は中村祐一氏提供)

服に洗濯という行為は欠かせないが、汚れが落ちないなど悩みも多い。長野県のクリーニング会社「芳洗舎」3代目で洗濯の専門家として活動する中村祐一さんが対処法を解説する。

服が汚れたら、とりあえず洗濯機に入れて回しておけば大丈夫だと思う人がいるかもしれない。ただそれでは服が長持ちしない。洗い上がりの服を身に着けたときの快適さや気分の高揚もないだろう。すぐ着られなくなると、本来必要ない買い替えを迫られ、家計が圧迫される。短期間に服の廃棄を繰り返すのは環境にも悪影響を与えかねない。

筆者は洗濯のアドバイスをしているので相談を多く受けるが、「汚れを落とすにはどうすればいいか」といった内容ばかり聞かれる。ただ服をよい状態で着続けたいなら、その前に洗濯に持つイメージを定義し直してみるのはどうだろうか。汚れを落とすのはもちろんだが、むしろ「着る」という行為を中心にして洗濯を考えてみるのだ。

汚れがきちんと落ち、清潔で快適に着られること。素材感、色、艶、形、風合いをできるだけ長く保っていられること。洗濯で大切な2点だ。

汚れや嫌なニオイが残ったままの服は当然着たくなくなる。色がくすんだり、色移りしたり、伸びたり縮んだりしても、着たくなくなる。汚れが落ちるだけでは十分ではない。次も着たいと思えてはじめて長く着られる。

そのためにも服の特徴や状態の「見立て」が大事だ。その服がどんな素材を用い、どういった製法で、どういう場面で使うためにつくられたのか。基本情報を把握する。

なかでもまず押さえたいのが素材だ。使われている素材によって洗濯でできること、できないことが決まる。

どのような洗い方が可能なのかは絵表示の付いているタグを確認しよう。表示を見れば、ある程度はどんな処置ができるか見当がつく。ただしっかりとテストしたうえで付けている表示もあれば、なかには根拠が曖昧なまま付けられているものもある。表示通りで洗うのが妥当か、注意が必要なケースは意外に多い。

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複数の素材でできていたら