新型コロナが迫る変革

――好循環に入ったところで、新型コロナウイルスの流行が起こりました。

「今回の危機は地球レベルのパンデミックで、これまでの危機とは次元が違います。在宅勤務が定着するとシャンプーをしても整髪しない人が増え、マスク着用が増えると肌荒れのケアはしても化粧をしない人が増えました」

「様々な領域で多くの製品のマーケットが蒸発し、既存のビジネスモデルの延長・改善では勝ち残れなくなっています。これからの消費動向はどうなるのか、根源的な問いかけに企業の経営者は対峙しています」

――リスクへの向き合い方をどう心がけていますか。

「日本ではリスクを避けることがリスク管理になっていますが、私は失敗の確率が30%までなら攻めのリスクを冒します。ただしスタッフ部門には事前のシミュレーションを尽くし、成功率を高めるためのリスク管理を求めます」

「父の彦次は直販体制に移行して失敗し、直販から撤退する際に、情緒や思い入れとどう折り合いをつけるかに悩みました。リスクを取って失敗したとき、撤退の適切なタイミングを決めるのもリーダーの仕事です」

「フォロワーがいないリーダーは存在しません。苦しい経営再建に耐え、会社に残ってくれた社員たちは間違いなくよいフォロワーでした。よいリーダーには社内のよいフォロワーが必要ですし、必ずついて来てくれます」

(編集委員 竹田忍)

■グローバル化を推進
にしむら・もとのぶ 1951年大阪府出身。75年高砂香料工業入社。77年マンダム入社、95年社長、2021年から現職。グローバル展開を進め、インドネシアで「マンダム」は男性用、女性用とも化粧品のトップブランドだ。
 スハルト大統領が辞任に追い込まれた1998年のインドネシア暴動。マンダムの工場にも暴徒は迫ったが、「ここはインドネシアの会社だ」と擁護する声が上がり、難を免れたことを自らの人生における勲章にしている。
■お薦めの本
「1万年目の『人間圏』」(松井孝典著)
 宇宙からの視点で地球や人間を見つめ直した本です。地球は人間にとって不可欠ですが、その逆は成立しません。人類が永らえる道とは何かを考えさせられます。

[日本経済新聞夕刊 2021年11月4日付]

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