宇宙ヨットで木星目指す 世界初の小惑星群探査を計画宇宙航空研究開発機構(JAXA) 元シニアフェロー 川口淳一郎氏(23)

イカロスのチームメンバーは若手中心に集めた=JAXA提供

エンジンの故障をはじめ数多くのトラブルに見舞われながら、困難を乗り越えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネージャを務めた、元シニアフェローの川口淳一郎氏は、小惑星からサンプルを持ち帰る世界初の試みを成功に導いた。川口氏の「仕事人秘録」の第23回では、「宇宙ヨット」という新たなプロジェクトを紹介します。

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小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げ前から取り組む新型宇宙船の開発計画は現在も進行中だ。

開発計画では、はやぶさで姿勢制御に利用した太陽の光の力を使って木星近くの小惑星まで探査機を飛ばすことをめざしています。ヨットの帆のように広げた薄くて広い膜に太陽の光を受けて加速する、いわば「宇宙ヨット」です。理想的には、燃料を全く使わずに加速できるので、地球から遠い惑星に向かうのに適しています。

さらに帆には薄膜太陽電池を貼り、その電力を使ったイオンエンジンも併用。中・小型でも木星のような遠くの惑星まで行ける新しいタイプの宇宙船「ソーラー電力セイル」を作ろうと考えたのです。

はやぶさを打ち上げる前の2000年ごろから研究に取り組みましたが、なかなか認めてもらえません。まず技術的に可能なことを示そうと実験機イカロスの打ち上げを目指しました。

しかし打ち上げるロケットがありません。困り果てていたところにチャンスが舞い込みます。金星探査機「あかつき」を打ち上げるH2Aロケットの安定のため、おもりが必要だというのです。偶然出席した会議でこの話を聞き「おもりの代わりに実験機をのせてもらえませんか」と身を乗り出しました。当時の立川敬二・宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長がよく認めてくれたと思います。

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はやぶさ以上に挑戦的な「大風呂敷」
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