自分の興味関心が道標となる
一方、築いてきたキャリアとは異なる職種に挑む人もいる。加藤真さん(同68歳)は富士通で人事畑を歩んだ後、関連会社役員を60歳で退職。「保育の担い手はなぜモチベーションが上がらないのか」という問題意識もあり保育士を補助する「グランドシッター」の資格を取得して保育園で子供たちと関わっている。高知大学の産学協同プロジェクトにも特任教授として携わり、参加企業と学生とのワークショップでコーディネーターも務める。
加藤さんは、サラリーマンに対して異なる世界へ「一歩目を踏み出すことの喜び」を伝えたいと語る。今を楽しんでいることが伝わってくる。
かつて「定年」といえばキャリアの終着点で、老後の年金生活のイメージだった。しかし、昨今の定年はキャリア後半のスタート地点だ。本書に登場する24人からは、生き生きと働き続けるために、自分の興味や関心を道標に自ら道を切り開いていく必要性が感じられた。彼らの中にはあなたと似た経歴や立場の人も見つかるだろう。ぜひ本書を人生100年時代のキャリアを考える際の参考にしていただきたい。
今週の評者 = 倉澤 順兵
情報工場エディター。大手製造業を対象とした勉強会のプロデューサーとして働く傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。東京都出身。早大卒。
情報工場エディター。大手製造業を対象とした勉強会のプロデューサーとして働く傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。東京都出身。早大卒。