ワイン選びは「ビビビッ」で
ワインは種類が多く、何を飲めばよいかわからないという人もいるだろう。著者が勧めるのは、「ビビビッ」の気持ちで選ぶというもの。直感に頼るのである。注目すべきはワインのラベル。デザイン、色、形は生産者が決めている。そのため、ラベルには生産者のセンス、どんなワインを造りたいかが表れるという。モダンで明るい色のラベルなら、あかぬけたクリーンな味わい。逆に、19世紀から変わらないような伝統的なタイプなら、地味だが味わい深いワインが期待できる。
ワインを選ぶ際は価格も重要だ。著者によれば、3000円までは味と値段が比例する。しかし、3000円を超えたあたりから人によって意見が分かれ始める。なぜなら、高級ワインは万人受けよりも個性を重視するからだ。果実味がなかったり、酸が強かったりと、味が独特な場合がある。「普通においしい」ワインを求めるなら、3000円で十分というのが著者の見解だ。
本書で紹介される型破りなワインのたしなみ方に眉をひそめる人もいるかもしれない。しかし、読み進める中で思い浮かぶのは、常識やルールにとらわれず、自分の気持ちに正直にワインを味わい、日々を謳歌する著者の姿だ。ワインに限らず、人生はもっと自由に楽しまなければ損だと気づかせてくれる一冊である。
今週の評者 = 川上 瞳
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。