パッケージデザイン開発とマーケティングリサーチを行うプラグ(東京・千代田)は、2021年8~10月に発売された609商品のパッケージデザインに関する好意度調査を実施した。ここ数年、秋冬はとろける感のあるシズルを表現したデザインが上位を占めてきたが、21年のランキングは「上品」「優雅」「気品」を感じさせるデザインが上位を占めた。濃い色一辺倒ではなく、ブランドカラーやフレーバーの色を大切にしたデザインが目立つ。

好意度上位パッケージ(1~3位)
好意度上位パッケージ(1~3位)

 20~50代の消費者3万2000人がパッケージデザインの画像を見て、好きかどうかを5段階で評価し、そのうち「好き」「やや好き」と回答した割合を好意度とした。また、好意度の理由を自由回答で調査している。

 トップ3は2020年同様、長い歴史のあるロングセラーブランドのリニューアル商品が占めた。1位の明治「メルティーキッスプレミアムショコラ」は4年ぶりの品質向上に合わせてパッケージもリニューアルしている。女性からの評価が非常に高く、20代や30代、50代で1位を獲得した。消費者からは、「雪の結晶が冬っぽくて、この季節が来た! とうれしくなる」「飾り模様がとてもかわいい」「おしゃれで高級感もあって良い」など、背景の雪模様の季節感とデザイン性の高さを評価する意見が寄せられた。

 なお、チョコレートカテゴリーでは、例年上位にランクインしている不二家の「LOOK」シリーズを抑えての1位獲得となった。

 2位は日清食品の「日清のどん兵衛 きつねうどん」だが、こちらも10年ぶりの“だし”のリニューアルに合わせてのパッケージ変更となっている。「何より、既にこの商品が好き」「文字がなくてもどん兵衛と分かる」「昔から見慣れているデザイン。見ただけで食べたくなる」というように、カップ麺好き男性からの愛を感じる意見が多数寄せられた。パッケージでは「Wだし」「No.1」「ふっくらおあげ」などキャッチコピーに工夫が凝らされているが、それを強力に下支えしているのは一目で「どん兵衛」と分からせるデザイン資産をしっかりと継承していることであろう。

 ブランド資産という観点では、3位の「コカ・コーラ」はまさにその意思を感じるリニューアルとなっている。

 プレスリリースによると「“赤”がより印象的なパッケージデザインに一新した。スペンサーロゴをより大きく強調した、シンプルでありながら時代を超えた美しさを表現している。また『コカ・コーラ ゼロ』『コカ・コーラ ゼロカフェイン』はスペンサーロゴを黒にした斬新なデザインでオリジナル『コカ・コーラ』との違いを表している」としている。

 以前、健康ブームに伴い黒色主体の「ゼロ」やシルバー主体の「ダイエット」の売り上げが伸長したことで、「赤のコカ・コーラ」というブランドイメージが拡散してしまったのでは、と懸念された時期があった。同社はその後、改めて統一したブランドイメージを強化するために、赤いサークルを真ん中に配したデザインに刷新している。今回のリニューアルでもその教訓を生かしてか、赤をより強調する方向にデザインを変更している。消費者からも「揺るぎない王者の風格」と好評を博した。

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