顧客情報管理のシステムを提供する米ITベンダーの日本法人、セールスフォース・ジャパン(東京・千代田)は2022年2月に本社を移転。「日本生命丸の内ガーデンタワー」を「Salesforce Tower」と銘打ち、社員の増加や新型コロナ禍に伴った新しい働き方を目指したオフィスデザインを打ち出した。22年8月に「2022年度 第35回日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞」を受賞している。

Salesforce Towerの最上階に位置する「‘Ohana Floor」にある和室。議論や交流の場として使用できる。セールスフォース・ジャパンは2022年8月に「2022年度 第35回日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞」を受賞した(写真提供/セールスフォース・ジャパン)
Salesforce Towerの最上階に位置する「‘Ohana Floor」にある和室。議論や交流の場として使用できる。セールスフォース・ジャパンは2022年8月に「2022年度 第35回日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞」を受賞した(写真提供/セールスフォース・ジャパン)

 「Salesforce Tower」と名付けた海外拠点は全世界で6つ目で、アジアでは初めて。それだけ日本市場を重視していることの表れだろう。オフィス設計は海外のデザイン会社が手がけており、世界共通のデザイン基準のほか、日本拠点としての特徴的なデザインもある。場所を選ばずにどこからでも成功する“Success from Anywhere”という同社の新しい働き方のコンセプトに基づき、リモートワークができる環境づくりのほか、人と人とが直接会う楽しさや自発性の向上にもつながる柔軟性のある働き方を目指した。事前に社員にアンケートを取った結果、リモートワークは必要だが、対面で会うことの重要性も浮かび上がったという。

 2022年2月に移転し、取材時の7月末時点ではまだ半年しか経過しておらず、社員に対する移転効果の調査はこれから。だが社員のモチベーション向上や、エンゲージメントといった会社への貢献度向上などが見られ、移転に手応えを感じているという。

フロアの中央に和室も

 最大の特徴は、Salesforce Towerの最上階に位置する「‘Ohana Floor」だろう。‘Ohanaは「家族」を意味するハワイの言葉で、‘Ohana Floorは社員やパートナー、顧客との絆を深める場として捉えており、議論や交流の場として使用している。‘Ohana Floorは各Salesforce Towerにもあるが、日本拠点の独自デザインとして目を引くのが、フロアの中央にしつらえた静穏な和室と日本庭園だ。窓の外に見える皇居外苑の景色などとつながり、富士山も見える。室内だけにとどまらない奥行きを演出している。‘Ohana Floorには、一流シェフを社員として招いて軽食やスイーツなどを提供するコーナーもある。社員はもちろん、訪れた人はわくわくしそうな場所だ。外部団体などに提供し、イベントも開催できるようにしている。

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