人工流れ星、成功へ信念ぶれず ミッション発信し共有ALE 岡島礼奈社長(上)

人工流れ星を作る――。誰もやったことがなかったビジネスに挑むのがALE(エール、東京・港)の岡島礼奈社長(42)だ。科学への貢献とエンターテインメント性、そのはざまで、リーダーとして事業や組織のあり方を模索してきた。創業から10年、メンバー離脱などの危機を乗り越え、人工衛星からの流れ星の放出に夢を託す。

――岡島社長が考えるリーダーはどんな存在ですか。

「会社が目指すミッションやビジョンを社内外に伝え続けることです。そして事業の成功を誰よりも信じてやりきることです。社内外に伝えるためには、自ら実践することも大事です。例えば、経営判断を下す際、いくつか選択肢があったとします。メンバー全員の総意を取ると当たり障りの無い判断しかできないでしょう。最終決定者の私が具体的な行動で示します」

「職人気質の技術者が多いので、メンバー同士の意見がぶつかることは珍しくありません。私はメンバーの意見を積極的に取り込みながらプロジェクトを進めます。ただし最終的な判断を下す決定者として、ぶれない信念を持ち続けなければなりません。ミッションやビジョンに従って判断を下せば、多少とがった選択肢でも『これがALEなんだ』と周知できます」

ALE社長 岡島礼奈氏

――人工流れ星の実現は、独自性が高い取り組みです。

「私は科学の発展に貢献したいと思っています。人工衛星を使って大気圏に球体を放出した事例はこれまでありません。流れ星で大気のデータを取得すれば気象予報の精度向上や気候変動のメカニズムの解明につながる可能性があります。エンターテインメント企業としての印象が強いですが、軸は基礎科学です」

「独自に開発した直径1センチメートル程度の球体を人工衛星から大気圏に向けて放出し、燃える現象を利用して流れ星を流します。2019年に打ち上げた初号機は軌道が高かったので流れ星が流せる高度まで移動させている最中です。同年に打ち上げた2号機は不具合が見つかりました。現在3号機を開発中で、23年の打ち上げを目指しています」

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組織再建へ、ビジョン共有