基本ができると、いろいろなスパイスを試してみたくなる。そこで陥りやすい失敗が“オーバースパイス”だ。スパイスの量が少なく感じるかもしれないが、入れ過ぎてはダメ。香りと色、辛みのバランスが崩れるので要注意だ。

せっかくスパイスをそろえるなら、カレー以外の料理にも使いたい。遠藤さんは「特徴をつかめば、応用範囲は広い。ワサビやショウガなどと同じ感覚で使える」と話す。

汎用性が高いのが、カレーの黄色の基になるターメリック。オムレツに少し入れるだけで色が鮮やかになる。炊飯時に入れてターメリックライスにすれば、いつものカレーが手軽にランクアップ。「スパイス同士のつなぎ役にもなるので、炒め物など複数のスパイスを入れるとき使うと味がまとまる」と遠藤さん。

エスニックな香りが特徴のクミンは、ラム肉などとの相性が良い。「肉料理や炒め物などの隠し味に使うと味に深みが出る」(竹内さん)。オススメは、クミンと塩を1対1の割合で混ぜたクミン塩。ゆで卵や卵かけご飯、天ぷらなどにかければ、手軽にエスニックな風味が楽しめる。

コリアンダーはかんきつ系の爽やかな香りが特徴で、減塩料理にも応用できる。「しょうゆや味噌の風味を邪魔しないので和食と相性がいい。減塩に伴う物足りなさを香りが補い、満足感が高まる」(遠藤さん)。エスビーは女子栄養大学の監修で、コリアンダーを使ったキンピラや魚の煮付けなどの減塩レシピも公開している。

ドリンクにも使える。ミルクティーにカルダモン、シナモン、クローブを加えれば本格的なチャイに。牛乳にターメリック、ハチミツを加えて作るゴールデンミルク(ターメリックラテ)は、海外のモデルなどの間で人気が高まっているという。

スパイスの香りや色を長く楽しむためには、保存にも気をつけたい。シンク下やコンロ脇などは避け、冷暗所で保存するのがベストだ。光が当たると退色、熱は香りが飛ぶ原因となる。湿気があると固まり、傷みやすくなる。複雑なスパイスの香りで、いつもの食卓に変化を加えてみよう。

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スパイス求め新大久保へ

東京・新大久保にある通称「イスラム横丁」では、カレー用の食材が安価で手に入るという。スパイス探しを兼ねて訪れてみた。

JR新大久保駅の改札を出てすぐの路地には外国人が多く行き交い、ハラル食材を示す看板が異国の雰囲気を醸し出す。店頭でサモサやチャイを販売する店に入ると、壁一面に袋詰めのスパイスがずらり。

コメや豆、レトルトカレー、ドライフルーツなど、店によって扱う食材は様々。ネパール料理やカレーの店もあるので、買い物がてら小旅行気分が味わえる。

(ライター 李 香)

[NIKKEIプラス1 2021年10月2日付]