変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

筑波大学学長 永田恭介氏

筑波大学学長 永田恭介氏

日本の大学は教授、学者という「個人事業主」の集まりともいわれる。トップといえども組織を自由には動かせない。筑波大学学長の永田恭介氏(69)の描くリーダー像は、大きな視野に立ち、課題と向き合う姿だという。科学技術の「源泉」として期待される大学の本質とは何かを問い続け、改革にまい進する。

――国立大学は2004年の法人化以降、独立性と自立性が求められてきました。アカデミアのリーダーとして、何を心がけてきましたか。

「科学者はひとつずつ、上のヒエラルキー(階層)から考える癖がついています。問題にぶつかったとき、解こうとするレベルのひとつ先をいく視点、一段階上から見つめ直すと、直面していた問題は一部にすぎず、また新たな問題がわかってくるのです」

「学長になれば大学のことは放っておいていいはずです。大きな指示だけを与えたら、副学長、理事を含め、あとは仲間に任せればいい。もちろん方針作りでは徹底的にディスカッションはします」

「大学のことは大学に任せ、学長は日本のことを考えよう。そういう姿勢で臨んできました。自分の置かれた状況のひとつ上の階層から考え、それに対し意見を持ち、そして行動を起こす。それができないとリーダーはやっていけないかなと思います」

――学長になることを意識したのはいつごろですか。

「国立遺伝学研究所や東京工業大学で20年近くがんや遺伝子を研究してきました。2001年に筑波大に移り医学系の教授となり、病院や大学全体のことも考え始めました。前任の学長が病気で2年の任期を残して辞めることになり、ある日突如、学長の選考委員会から『先生、履歴書を送ってください』という連絡がありました」

「青天のへきれきでしたね。学問や大学のありようを大学や学者、研究者の手に取り戻さなければならないと考えていた矢先の出来事でもあり、その思いを学長選考会議のヒアリングで述べました」

――学長に就いて何をしたのですか。

「筑波大は建学の理念を持つ珍しい国立大学です。1973年、これまでの国立大学と違った組織体制からなる新構想大学の第1号としてつくられ、理念は360字ぐらいでよくできています。自分なりに読み解いたときに、この大学は日本の大学に欠けていることを50年前から明確に建学の理念として書き込んでいる、と気づきました」

「『国際性を高めよ、学際性が大事』といったことです。この理念を大学に浸透させよう。『国際性と学際性を高めることをもってして大学として進もう』。16年度からの第3期の中期目標・中期計画でこの方針を提案、年度当初の所信で言及してきました」

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック