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「クロマグロの漁獲量を増やしてもよいことが国際会議で決まったようだね」「絶滅の危機という話も聞いたことがあったけど、お寿司や刺し身で食べる機会も増えるのかな」

クロマグロの漁獲量を巡る状況について、バーチャルキャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが志田富雄編集委員に聞きました。

日比くん「日本の漁業なのに、クロマグロはとれる量に制限があるのですね」

太平洋にすむクロマグロは乱獲によって激減しました。推定資源量で1960年代初めに15万トン以上いた親魚が、一時は10分の1以下の1万トンあまりに減ってしまったのです。国際自然保護連合(IUCN)は2014年に太平洋クロマグロを「絶滅危惧種」に指定しました。太平洋域でマグロ・カツオ類の資源を管理する国際機関(中西部太平洋まぐろ類委員会=WCPFC)は14年に漁獲規制を決め、15年から導入しました。 規制は、体重30キロ未満の魚の漁獲量は02~04年平均の半分以下にとどめ、体重30キロ以上の大型魚も02~04年平均を上回らないという歯止めです。その規制に沿って日本などの漁業国に漁獲枠が設けられました。30キロ未満の規制を厳しくしたのは、成長前の0~1歳魚の漁獲が全体の9割強を占める状況を深刻に考えたからです。国内で「ヨコワ」や「メジ」と呼ばれる子供のクロマグロは成魚よりも値段が安く、外食店などにとって扱いやすい食材でした。

名瀬さん「体重30キロ以上の大型魚の漁獲枠を増やせるようになったと聞いたけど、クロマグロの資源はもう安心ということですか」

各種のマグロは高級な寿司ネタとしても人気が高い(写真はイメージ) =PIXTA

各種のマグロは高級な寿司ネタとしても人気が高い(写真はイメージ) =PIXTA

科学的な調査でクロマグロが増えてきたことは間違いなさそうです。日本は18年からWCPFCに漁獲枠を増やすように求め、21年12月の会議でようやく合意できました。22年の大型魚の漁獲枠は21年比で15%増えます。ただ、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの植松周平・海洋水産担当は「資源量が増えてきたとはいえ水準は低いままだ」と慎重な見方をしています。

太平洋より厳しい漁獲規制を導入した大西洋・地中海域では、クロマグロの量が急速に回復しました。太平洋でももっと我慢して資源回復を確実にする戦略もありますが、水産庁の神谷崇長官は「クロマグロのように関係者の多い魚は、利用しながら資源を回復させていくことが必要だ」と話しています。

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