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西武ホールディングス社長 後藤高志氏

西武ホールディングス社長 後藤高志氏

会計不正問題、筆頭株主による敵対的TOB(株式公開買い付け)、そして新型コロナウイルス禍――。西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長はメインバンクの副頭取から転じて以降、経営を揺るがす苦難と向き合ってきた。「危機のときこそ大胆な決断が必要だ」と説く。

――リーダーとして重要なことは何ですか。

「まず人の話をしっかり聞くことです。危機にある時は自分にとって厳しい情報よりも、都合のいいことばかりが耳に入ってしまいがちです。様々な情報を自分の頭の中で細かく整理して取捨選択し、最後はトップの責任として大胆に決断を下す。そのためには傾聴力が非常に重要です」

――ホテルやレジャー施設の売却など大型リストラを決断しました。

「コロナ禍で厳しい状況に置かれました。都心のホテルは客室稼働率がコンスタントに80~90%程度あったのが、訪日客を失い一時数%台に落ち込みました。鉄道の輸送人員もコロナ禍前から40%ほど低下。2020年2月に『この感染拡大は(収束まで)最低3年はかかるぞ』と役職員にきっぱり伝えました」

「とにかく従業員の雇用を守る必要がありました。コロナ禍前のような収益に戻らない前提で議論を重ね、再開発計画が当面ない地域のホテルなどの譲渡が財務体質改善につながると考え、(資産を持たず経営の効率を高める)アセットライトを決めました」

「譲渡対象の31施設では当初、従業員に不安があったようですが、雇用を守ったことで払拭されたようです。最近は現場から様々な事業アイデアが出て、(譲渡先のシンガポール政府系投資ファンドの)GICが提案に乗り設備投資を検討するポジティブな循環が生まれ始めています」

――重要な決断を積み上げる際の心構えはありますか。

「私心を持たないことです。『これをやったらかっこいいんじゃないか』『こうしたら人から褒めてもらえるんじゃないか』。こうした誘惑はよくあります。一方、その決断が株主や従業員などのステークホルダー、地域社会や日本にとって果たして本当にベストなのか。自分に徹底的に問いかけるようにしています」

「大きな危機や重い決断であればあるほど、厳しい批判やハレーションもつきまといます。ただ、ネガティブな要素を含めてあらゆる情報をそしゃくした上で、ぶれずに大胆な決断をすることがリーダーに求められる条件です」

――ぶれないでいることは難しいです。

「『朝の来ない夜はない』という言葉を大事にしています。05年にみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)の副頭取を退任し、西武鉄道に社長として来た時の記者会見でも、こう言いました」

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