ひと口に「コンサルタントの転職」と言っても、転職先は同業種、異業種、起業と大きく3つのタイプに分かれる。それぞれがどんな理由や動機でなされるのか、どんなタイミングや覚悟で転職すべきなのか。元アクセンチュアで転職と起業の経験を持つ気鋭のコンサルタントが自身の体験を交えて解説する。

コンサルタントの転職先は「同業」「異業種」「企業」の3つに別れる。それぞれメリットとデメリットがあり、対策が異なる ※画像はイメージ(画像提供:aaumvector/Shutterstock.com)
コンサルタントの転職先は「同業種」「異業種」「起業」の3つに分かれる。それぞれメリットとデメリットがあり、対策が異なる ※画像はイメージ(画像提供:aumvector/Shutterstock.com)

コンサルタントは3~5年ごとに転職を意識する

 前回、コンサルタントにとって転職が付きものなのは「そもそもコンサルティングファームの制度設計が、組織にとって優秀な人間しか残れないようになっているから」ということを解説しました。

 コンサルティングファームの場合、アクセンチュアを例にすると、アナリスト、コンサルタント、マネジャー、シニア・マネジャー、マネージング・ディレクター(パートナー)というのが、ポジションの大きなくくりとなります。大抵、3~5年で次のポジションに昇格しますが、マネジャーになれば、チームのメンバー選びや管理の他、クライアントから案件を取ってくる営業など、純粋なコンサルティング以外の仕事が増えます。さらにシニア・マネジャーに昇格すると、チーム全員を食べさせるための大きな案件の獲得や、チーム全体の人事や労務管理などの責任も負わなければなりません。

 そのため、分析や戦略立案といったコンサルタントのメインの仕事だけをイメージして入社した人は、次のポジションに上がるタイミングが来るたびに「自分にできるだろうか」と不安になったり、あるいは「想像していたコンサルタントの仕事とは印象が違ってきたな」などと悩んだりして、転職を意識することになります。

 中には転職を意識することなく、シニア・マネジャーあるいは日本の企業でいう役員に当たるマネージング・ディレクターにまで上り詰める人もいます。しかし、そのような人はごく一部で、多くの人たちは3~5年ごとに、ポジションが次の段階へと上がるタイミングで「転職」を考えることになるのです。

 コンサルタントの転職先には、同業種異業種起業の3つのパターンがあります。そこで、今回は転職先ごとの実態はどのようなものか、賢い転職をするためにはどのようなことを意識すべきかについて解説したいと思います。

同業種への転職、戦略系か総合系かで大違い

 まず、同業種であるコンサルティング業界への転職は、転職先がマッキンゼー・アンド・カンパニーやBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)などの戦略系のファームか、アクセンチュアのような総合系のファームかによって考え方が変わってきます。

 日本企業に入社した人が、最終目標とするポジションが事業部長や役員だとすれば、コンサルタントがファームに入って目指すゴールはマネージング・ディレクターです。コンサルティングファームで最後まで生き残れる人であれば、そのファームで激しい競争を勝ち抜いてマネージング・ディレクターになるのが夢をかなえる最短の道です。ヘッドハンティングでもない限り、転職を考えることはないでしょう。

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