川越耳科学クリニックの坂田英明院長は「不安解消のためにも出発30分前を目安に酔い止め薬を服用する。ほとんどの酔い止め薬には眠くなる成分が含まれており、そのまま寝てしまうのが得策。運転手以外の成人なら少量のアルコールを飲んでもいい」と話す。横たわるだけでも頭が固定されて内耳への刺激が減り、酔いにくくなる。

それでも気分が悪くなった場合は「アイスキューブ(氷のかたまり)」だ。子供は1個、大人は2個程度を口に含むと、口が痛くなるほどの冷たさで吐き気を催す副交感神経の興奮を抑える。クーラーなどに用意してもいいが、コンビニでも手に入る。坂田院長はショウガを使った食品やお気に入りのアロマも酔いを抑える効果があると薦める。

写真はイメージ=PIXTA

乗り物酔いのなりやすさは自律神経の発達具合も関係する。坂田院長は「2歳頃まではほとんど酔わないが、3~12歳ぐらいまでの発達途上の敏感な小脳は酔いやすく、中学~高校生あたりがピーク。20歳以降は脳も老化して鈍感になり、乗り物体験を重ねて揺れや速度に慣れて酔わなくなってくる」と解説する。

船員や漁師が船酔いしにくいのも「慣れ」の賜物(たまもの)。酔わなかった成功体験の積み重ねで乗り物酔いは克服できる。

不安やストレスを抱えたままだと酔いやすい。「移動中は子供に『酔った? 気持ち悪い?』などと問いたださないこと。かえって子供の不安が増し、第2段階での「不快」判断を促す。楽しい話をするなどして意識をそらせることが大事」(石井部長)だ。

旅行中の子供との楽しいコミュニケーションが乗り物酔い克服のサポートにもなる。親はリラックスした気持ちで子供との休日を楽しんでほしい。

(ライター 大谷 新)

[NIKKEI プラス1 2022年4月30日付]