検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

元気の源は故郷、淡路島の食材 女優・大地真央さん

食の履歴書

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

裏表ない清らかな人柄が人を引きつける。舞台というキャンバスで、唯一無二の作品を作り上げる。才能はもちろん、問われるのは役者としての気概だ。大地真央さんを支える「元気」の源は、ふるさと、兵庫県淡路島の食材で培われた。

15歳で故郷、兵庫県淡路島を離れた。当時は明石海峡大橋がなく、連絡船で本土に渡るしかなかった。船が水面(みなも)に残した長く白い引き波が脳裏に残る。「これから大きなことを成しとげるって気持ちが大きかった」

3人姉妹の末っ子で甘ったれ子だったが、「姉の影響もあり少々大人びた少女でもあった」。カラータイツを着こなすなどおしゃまな少女も、放課後は近くの浜辺で海水浴に明け暮れる自然児だった。

焼き物、野菜の煮付け、漬物。タイやタコ、タマネギなど食卓に並ぶのは食材の宝庫ともいわれる淡路島の名産品ばかりだ。畑で取れたダイコンを母親が干す姿を見つめる。「そろそろおいしいお漬物が食べられるな」。子供心にわくわくしていた。母の十八番が地元のちらし寿し「おまぜ」だった。マグロ、エビ、タコ、キュウリ、錦糸卵――。「味はもちろんだけど、ほんとにカラフルだった」

台所に立つ母はいつも楽しそうだった。取れたての魚介や野菜の鮮度はもちろんだが、母の腕前で泥を被っていた野菜や魚が皿という舞台の上でまったく別物に変わるのが魅力的だった。

役者志望ではなく、主演女優の後ろで踊るダンサーになりたかった。スポットライトには興味がなかったが、ひょんな縁で、劇団員だった義兄の上演を手伝う。「照明、舞台設備に驚き、ライトの中央に立ちたい」と強く願う。15歳で宝塚音楽学校に入学する。軍人だった父は最後まで入学に難色を示したが、友人の「寮生活は厳しいよ」というひと言で認めた。

5歳ほど上の同級生に囲まれ、がむしゃらながらも楽しい日々を過ごした。休日、学友たちと繰り出す食事。宝塚周辺は淡路島に比べれば大都会だ。しゃれた洋食、厳(おごそ)かな和食など財布が許される範囲で未知の世界を堪能した。そのとき経験したのが焼き肉。香ばしい香りと、目にしみる煙。「味はもちろん、雰囲気が忘れられません」と当時を振り返る。

固定観念にとらわれず役を追求するのがモットーで、宝塚では"異端"といわれた。毎回、役柄の設定を自分なりにアレンジする。「どの役にもそれぞれ別の人生がある」

その一つが、1990年から20年間演じた「マイ・フェア・レディ」のヒロイン、イライザだ。貧しい花売りの娘が上流階級へ進むシンデレラストーリー。「イライザは身を立てようという思いは人一倍強かったはず」。着古し擦り切れた衣装をまとったが顔を汚すことはなかった。「汚れた顔の花売りから誰が花を買うんですか」

公演では座長役を務めることも多く、メンバーを束ねる上で笑顔に最も気を使う。舞台は体が資本であり、体力が落ちたら笑顔になれない。公演中、メンバーとは食べたいものを食べたいだけ、楽しんで食べる。「そうしないと体が動かないから」。

ヨガやストレッチなど聞くたびに試すが健康を強く意識したことはなかった。主治医からは「健康は12歳までの食生活で作られる。淡路島に感謝するように」と言われた。

唯一心掛けているのが、毎朝のスムージー作り。コマツナ、ニンジン、バナナなど野菜や果物を10種類以上使い、キッチンに響き渡る音で1日の予定を決める。分量はその日の体調次第。「野菜が足りないと体が教えてくれる」

目玉焼きアーティスト、マオ・ペカソ・ダイチの肩書も持つ。朝作った目玉焼きに表情があるという。「ケチャップ、コショウでひげを描いたら可愛い猫になったの」。インスタグラムで公開して2年あまり。個展を開くほどの腕前だ。フライパンに卵を落とすのも楽しいと感じるのは、幼いころに見た母の姿と通じるのかもしれない。

夫でインテリアデザイナーの森田恭通さんも多忙だが、時間を作って食事を用意する。「誰が」などルールはない。相手の様子次第で調理にかかる。前回は森田さんが担当した。いただき物のトウモロコシを使った炊き込みご飯だった。一口含むと笑顔になり、夫から隠し味を聞かれた。「コンソメかなと思ったんだけどお味噌ですって」。夫婦間の小さな驚きが大きなスパイスに変わっているようだ。

【最後の晩餐】 イカナゴの幼魚「コナ」の釜揚げかな。旬が春のごく限られた期間だからなおさら食べたい。海の香りとほんのり塩味。ごはんのお供には最高です。小さいころから大好き。お茶わんいっぱいによそったコナだけでもいいくらい。最後はやっぱり、故郷の味がいいですね。

天然フグ 欠かせぬ食材

寒くなると足が向くのはフグ料理専門店「六本木 浜藤」((電)03・3479・2143)だ。豊後水道産の天然トラフグが10月から翌年3月まで味わえる。店内は夫の森田恭通さんがデザイン。貝のかけらを使った照明機器はサンゴをイメージ、海中で食事を味わう感覚だ。

お気に入りは名物の「白トリュフキャビアてっさ」だ。オリーブオイルの風味で味わうのがお薦め。日本のフグに白トリュフ、キャビアを一皿に盛り込んだ。店主の乾晴彦さんは「サプライズも食を引き立てる大切な要素」と言い切る。

使われる野菜も有機栽培だ。食材や水もその年のフグと相性があうものを購入する。こだわるのは米で、今年は福島県産だ。「プリプリのフグで、シメはサラサラの雑炊。冬に欠かせないイベントかな」

(佐々木聖)

 だいち・まお 兵庫県生まれ。1973年宝塚歌劇団に入団、男役トップスターとして一時代を築く。85年に退団後は舞台「マイ・フェア・レディ」「ローマの休日」のヒロインなど代表作多数。映画・TV、CMなど幅広く活躍。現在公演中の舞台「夫婦漫才」に主演。

[NIKKEI プラス1 2021年10月30日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_