自転車の相次ぐ値上げ 響く資源高と2つの「ショク」

子供からお年寄りまで手軽な乗り物として愛されているのが自転車です。コロナ禍で密を避ける乗り物としても注目が集まり、2020年は国内の自転車の総販売額が過去最高の2100億円となりました。ただ、売れ行き好調のなか、今年秋に大手メーカーによる値上げが相次ぎました。背景にあるのは材料に使う資源の価格高騰、もう一つは「職」と「食」という2つの「ショク」です。

大手のブリヂストンサイクルは今年10月から最大11%程度値上げしました。人気のスポーツタイプ自転車「TB1」は5万7000円(税込み)と5000円高くなりました。電動自転車国内最大手のパナソニックも10月から平均で4%値上げし、学生向けモデル「ティモ・L」は13万5000円と6500円ほど高くなりました。

鉄鉱石は最高値更新、ステンレスも右肩上がり

自転車部品の主な原料である鉄やステンレス、アルミニウムが値上がりしています。自転車は車体が軽くなるほど高くなるといわれており、フレームは安いモデルでは鉄、高級モデルではより軽量のアルミが使われます。ステンレスはさびにくく、ハンドルや車輪の部分(リム)に多く使われています。

鉄の原料となる鉄鉱石は今年4月に10年ぶりに最高値を更新し、ステンレスの価格も2年前から右肩上がりになっています。ステンレスの値上がりの理由は、新型コロナウイルスの感染者数の減少で経済活動が再開したことによる需要の増加、そして原料のニッケル高です。ニッケルは電気自動車(EV)のバッテリー、リチウムイオン電池部材として使われていてEV需要の拡大で値上がりしました。

アルミニウムも歴史的な高値圏で推移しています。高騰には、中国とギニアの2つの国も関係しているのです。中国はアルミの生産量が国別で一番多く、世界の生産量の半分以上を占めています。ギニアはアルミの原料となる「ボーキサイト」の主要産出国で、中国に一番輸出している国です。

アルミは製造工程で大量の電力を使い、「電気の缶詰」という言葉もあるほどです。中国では近年、アルミ精錬で二酸化炭素(CO2)を大量に排出する石炭火力に代わり水力発電の利用を進めてきました。ところが夏の干ばつの影響で水力発電を利用する精錬所が減産したことで、供給懸念が広がりました。一方、ギニアでは9月に軍の一部によるクーデターが発生し、政情不安でボーキサイトの供給懸念が台頭しています。

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高級品需要をけん引する「職」と「食」