それはNG!女性のやる気そぐ「駄言」はハラスメント

2021/11/15
駄言を生む原因は「アンコンシャスバイアス」と「上位者によるハラスメント」であると、治部れんげさんは指摘する
日経 X woman

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(以後、『#駄言辞典』)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに紹介している本書を、ジャーナリストの治部れんげさんはどう読んだのでしょうか。

まだこんなことを言っている人がいるのか

『#駄言辞典』を電車内で読み始めたのですが、あまりに腹が立ち、いったん読むのを止めて家に帰ってから読み直しました。一つひとつの駄言の内容もすごいですが、たくさん集まることでさらに破壊力が増しますね。全編にわたり、読み応えがありましたが、特に会社の中で言われている駄言を読むと、「まだこんなことを言っている人がいるのか」とあぜんとしてしまいました。こんなことを続けているから、日本のジェンダーギャップ指数が120位にとどまっているのでしょう。

駄言が生まれる構造を説明すると、問題点が2つ挙げられると思います。まずは、本書でも述べられている通り、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」です。でも、それだけではないのです。もう1つ、見逃してはならないのは「上位者によるハラスメント」という視点です。

弱者に対する、言葉による攻撃

例えば、本書では、親戚の伯父さんから言われたという駄言が紹介されていました。

「そんなに長く働かないで早く結婚したほうがいいよ。生意気になるから」
大手日本企業を定年退職した伯父より、これから就職しようとしていた学生の私に。
『#駄言辞典』112ページより

就職面接で面接官から言われているケースもありました。

「女性は職場の華。年を取ったら若い子に席を譲るから」
就活中、総合職3次面接で言われました。私たち女性は華になるために採用されるんですか? 華として機能しない年齢になったら捨てられるんですか? 3次の面接官がそれ言います? 辞退しました。
『#駄言辞典』58ページより

1つ目の駄言を言った「伯父さん」は言われた当人にとっては目上の男性です。2つ目の駄言を言った面接官は、もしかすると女性で、自虐的にこんな言い方をしたのかもしれません。この面接官も、普段はこのような発言をしないのだと思います。しかし、面接という場面では、面接を受けている立場の人を下に見て、弱者に対して攻撃的な言葉を口にしてしまう。そんな構図が浮かび上がってきます。

就職面接を受ける学生のような立場の弱い者に対し、面接官などの上位者が攻撃的な言葉を口にしてしまう。そんな構図が浮かび上がる (写真はイメージ=PIXTA)
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年齢や立場が上の人によるハラスメントの構造