日経プラスワン

量販店で日用品の安売りを目にすると、買いだめしたくなる人は多いだろう。ただ過剰在庫を抱えると、自宅の保管スペースが狭まり、肝心なときに必要なものを取り出せない事態に陥りかねない。

保管場所は押し入れの枕棚や下段の隅、床下収納、納屋やベランダの活用など、普段手の届きにくい場所が候補になる。自宅に被害が出るケースなどを想定し、分散しておくのもよい。

具体的にどの品がどこに置いてあるか家族全員が把握できるようにするのが大事だ。場所ごとに写真を撮っておこう。写真を共有しておけば、備蓄品の一覧・マップとして活用できる。「見える化」しておけば、外出先で備蓄品を購入する際、買い忘れや買いすぎを防ぐのに役立つ。

食品では「ローリングストック」の発想が近年定着してきた。普段から少し多めに買い置きし、使ったらまた買い足す管理方法をいう。従来は消費・賞味期限の長い保存食を長期保管するケースが多かったのに対し、日持ちのする食品を定期的に食卓へ並べて消費しながら在庫を回転させていくスタイルだ。

このときも保管は2週間分を目安にする。好きな食材ばかり買い、期限切れまでに食べきれないケースも多い。期限をみながら細かく管理するのが苦手な場合には「備蓄用」「普段用」と明確に分けるやり方もある。

備蓄用は箱に詰めておく。どんな食品が何個あるか常にわかるよう、上下に重ねず横に並べるなど工夫しよう。賞味期限の1カ月前の日付はスマートフォンや手帳にメモしておく。期限が近づいたら普段用に移すなり、まとめて食べるなりしよう。備蓄用の食品を持参してキャンプ、自宅での防災訓練といった形で消費するのもよい。

「とりあえず何でも多めに」では収納スペースを圧迫する。在庫2週間分を目安に過不足なく収納もすっきりとした状態を目指そう。

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「開かずの段ボール」まず整理

自宅に2週間分の食品や日用品を置く場所がないという人もいるだろう。諦める前に、押し入れやクローゼットを点検してみよう。引っ越しから一度も触れていないものが眠っているのではないか。家族の思い出の品や過去の仕事の成果物など、捨てにくいが何年も開いていない段ボール箱があれば、中身を確認。量を減らせないか考えてみる。

季節外れの衣類や布団、キャンプ用品など、今すぐに使う予定がないものは外部収納に預けて、スペースを確保する手もある。これを機に整理してみよう。

(整理収納アドバイザー 米田 まりな)

[NIKKEI プラス1 2022年8月27日付]