2021/11/5

他言語を学ぶことで、新しい価値観に触れられる

――その後、中国映画『神奇旅行社』(中国では21年公開予定)で主演に抜てきされますが、どのようにして決まったのでしょうか。

中西:母がたまたま仕事で中国に行った際、お世話になった通訳さんに「娘が中国で女優を目指している」という話をしたんです。その方は芸能関係とはまったく関係ないお仕事をされているにもかかわらず、母が渡した私のプロフィルをいろんな制作会社に送ってくれました。そのなかのひとつに、ちょうど日本人女優を探している制作会社があり、監督とプロデューサーのオーディションを受けて主演に選んでいただくことに。本当に奇跡的なことでしたが、中国映画で日本人女優が主演するのは史上初と聞いて、それまでの努力が報われる思いでした。

中国映画『神奇旅行社』で中西さんは主演を務めた

――中国で初めてのお仕事がいきなり主演というのはすごいですね。実際に、中国の現場はいかがでしたか?

中西:中国ではクランクインのセレモニーがとにかく盛大なので、最初はそれに驚きました。そのあとロケ地の四川省では行ったことのないような山奥で撮影したのも印象に残っています。ただ、今回はほぼ全編中国語だったので、撮影後もホテルでずっと台本と向き合い続ける日々。中国語が話せるようになっていても、お芝居として言葉に感情を乗せないといけないですし、発音もきちんとしなければいけないというプレッシャーが大きかったです。

中国映画『神奇旅行社』の撮影シーン

――海外のキャストやスタッフとうまくコミュニケーションを取るために、実践していたことはありますか?

中西: つねに感謝の気持ちを忘れないことと笑顔でいることです。中国の方に、私の笑顔を見ていると幸せな気持ちになると言っていただいたことがあり、そのときに笑顔こそが万国共通の言語なんだなと。そういったこともあって、現場ではいつも明るく笑顔でいることを心がけました。それから、大事なのは現地の言葉を積極的に使うこと。あまり話せないときは控えめになってしまいがちですが、たとえ一言二言でも、意外と喜んでもらえるものですから。相手の言葉で話すことによってコミュニケーションも取れますし、自分の語学力も上がるので、そういったことは意識したほうがいいですね。

――では、海外で仕事をすることのメリットといえば?

中西:自分の知らない世界を見ることができたり、他言語を学ぶことで新しい価値観に触れたりできるのは、すごくいいことだと思います。あとは、「日本人はすごく礼儀正しいよね」とほめてもらうことが多かったので、日本では当たり前にしていた挨拶や感謝の言葉を口に出すことがどれだけ大切かを知るきっかけにもなったかなと。海外に出たことで、日本の良さに改めて気が付くことができました。

――現在は吉本興業に所属されていますが、どういったいきさつですか?

中西:アイドルを卒業してからは、個人事務所で母と二人三脚でがんばってきましたが、吉本興業の関係者の方と偶然お会いする機会がありました。そのときに、中国での活動の話をしたところ、賛同していただき、吉本興業の女優部門の一員としてサポートしていただくことに。吉本興業と一緒なら、また違うステージに行けると感じて、所属させていただくことになりました。この出会いもミラクルだったなと思います。

――それでは最後に、今後どのような活動をしていきたいのかについてもお聞かせください。

中西:まずは中国語と武術を生かして中華圏で活躍したいですが、英語の勉強も始めているのでいつかはハリウッドにも挑戦したいと考えています。日本でも朝ドラや大河ドラマに出たいという夢があるので、これからもいろんなことを学んでいきたいです。

中西悠綺(なかにし・ゆうき)
1997年2月25日生まれ。三重県出身。2010年に結成された女性アイドルグループ「Tokyo Cheer2 Party」の一員としてデビューし、卒業までセンターとメインボーカルを務める。その後、アイドルと並行して女優活動も開始。主な出演作は映画『柳生十兵衛 ~世直し旅~』、『僕が君の耳になる』、『ある家族』など。舞台では『遠き夏の日』や『学園探偵 薔薇戦士』で主演を務める。中国で21年に公開予定の中国映画『神奇旅行社』では、日本人女優として初となる主演に抜てき。タイムマシンの研究をする女子大生が、友人や家族との愛情を育んでいく姿を演じている。7年ぶりに開催された週刊ヤングジャンプの「ギャルコン2021」では、グラビアに初挑戦し、グランプリを獲得。現在は、中国のSNSで16万人のフォロワーを持つ日本人インフルエンサーとしても活動している。

(ライター 志村昌美、写真 小川拓洋)