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北京演劇留学→中国映画で主演 異色アイドルの軌跡は

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NIKKEI STYLE

週刊ヤングジャンプ主催の美少女発掘オーディション「ギャルコン2021」でグランプリに輝いた注目の若手女優・中西悠綺(ゆうき)さん。中国を代表する女優チャン・ツィイーさんらを輩出した北京の名門大学・中央戯劇学院で演劇を学び、香港で武術を習得するなど、海外でキャリアを磨いてきた。日中合作ではなく、中国製作の映画で日本人女優としては初となる主演を務め、話題となっている。中国でのキャリアを選んだ理由や語学習得法、海外生活で学んだコミュニケーション術などについて聞いた。

◇    ◇    ◇

昨今、ハリウッドに進出する日本人俳優は増えてきましたが、そんななか「アジアのトップを目指したい!」と単身で中国に渡ったのは女優の中西悠綺さん。もともとはアイドルグループ「Tokyo Cheer2 Party(東京チアチアパーティー)」第1期生のセンター兼メインボーカルとして13歳でデビュー。松方弘樹主演作『柳生十兵衛 ~世直し旅~』ではヒロインを務めるなど、映画や舞台にも活動の場を広げていました。しかし、20歳を迎えると中国で本格的に演技やアクションを学ぶことを選択します。

女優として、誰も成し遂げていないことをしたかった

――女優のお仕事も順調に進んでいたなか、日本ではなくあえて中国でお芝居を学ぼうと思ったのはなぜですか?

中西悠綺さん(以下、中西):「アジアで活躍できる女優になりたい」と考えたときに、アジアと言えば中国かなと思ったからです。合作で主演を務めたことがある方はいても、中国映画で主演を務めた日本人女優はいないと聞いていたので、まだ誰も成し遂げていないことをしたいなと。あとは、アジアで認知してもらえたら日本でも注目してもらえるかもしれないという思いもあったので、留学することを決めました。ただ、まさかひとりで中国に渡ることになるとは……。これは、自分でも想像していなかった未来です。

――最初は台湾に行かれたそうですが、そこではどういった生活をされていたのでしょうか。

中西:まずは、中国語を学ぶために、台湾の台北で語学学校に通いました。行くことを決意してすぐに旅立ったので、現地に着いたときに私が知っていた中国語は「ニーハオ(こんにちは)」と「シェイシェイ(ありがとう)」だけ。いま思うと、本当に無謀でしたね(笑)。

毎日勉強を続けて、3カ月で日常会話レベルに

――中国語を習得するまでの期間や実践した勉強法についても教えてください。

中西:まず、語学学校では日本人の友達をつくらないこと。とにかく中国語だけを聞いて、話すという環境に身を置くようにしました。早く習得したかったので、学校の宿題以外にも、中国のドラマを見たり、音楽を聞いたりしながら、セリフや歌詞を自分で書き起こして単語力を増やしていきました。そんなふうに毎日勉強を一生懸命続けていたら、3カ月後には日常会話はできるくらいのレベルにはなりました。話せるようになっていく過程は、本当に楽しかったですね。

――3カ月で日常会話とは、かなりハイペースだと思います。その後は、どうされたのですか?

中西:最初は中国語を習得することだけを考えていましたが、中国で活躍するためにはアクションができたほうがいいと思ったので、次は香港に行きました。そこで3、4カ月ほどアクションや武術を学んだあと、演劇の大学に通うために向かったのが北京です。

――北京への留学は、日本に行くときから計画していたことだったのでしょうか。

中西:台湾から香港へ行ったのも、北京へ行こうと思ったのも、事前に決めていたことではありません。現地で誰かにアドバイスをされたわけでもなく、すべて自分で得た情報をもとに、その場で決断しました。なかでも、北京の大学で学ぼうと決めた理由は、中国では俳優として活躍するためには中央戯劇学院か北京電影学院などの演劇大学で演技の勉強をしていないと難しいと聞いたからです。そういったこともあり、香港から北京に行って中央戯劇学院を受験しました。中国語での自己紹介、お芝居、朗読、実技、あとは筆記の試験を受けて無事に合格することができました。

――中央戯劇学院はトップスターのチャン・ツィイーさんやコン・リーさんを輩出した演劇教育を専門とする中国の超名門国立大学ですよね。

中西:北京でも観光地になっているほどの国立大学ですし、スターを夢見る子が中国全土から目指すようなところです。クラスメートは10人くらいで、私が唯一の日本人でした。

――大学での授業内容についてもお聞かせください。

中西:お芝居や音楽、あとは体を動かしながら表現を学ぶ体育のような授業など、朝から夕方までいろいろありました。ただ、先生がものすごく早口なので、ついていくのがとにかく大変。授業が終わってから先生に聞きにいくことはしょっちゅうでした。

うまくいかなくて、毎日泣いていたこともあった

――そういった生活でホームシックになったり、落ち込んだりすることもあったのではないかと思いますが……。

中西:正直に言うと、北京にいるときはゴールの見えない暗いトンネルを走っているような感覚だったこともあり、何度も帰りたいと思いました。早く結果を出そうと必死だったので、中国映画のエンドロールに書いてある制作会社を全部書き出してリストにし、自分でつくったプロフィルを片手にひとりで制作会社を1軒1軒、合計で60社ほど回りました。アポなしで門前払いされることもありましたし、うまくいかないことも多かったので、北京では毎日のように泣いていました。

――その時期をどうやって乗り越えたのでしょうか。

中西:一時帰国を終えて中国に戻る際、母から「本当に心が折れたらいつでも安心して戻っておいで。有名になってもなれなくても、世界で一番愛しているよ」という手紙をもらったんです。つらくなったときにその手紙を読むと、「ここで諦めたらダメだ。がんばろう!」と思えたので、それが支えになっていました。あとは、ひとりでよく映画館に行っていたので、そこで中国映画を見て過ごしている時間も好きでしたね。結果的には、それが中国語の上達や中国映画の勉強につながったと思います。

――苦しいなかで、モチベーションとなっていたものとは?

中西:そもそも自分がやりたいと思って始めたことですし、行ったからには何とかチャンスをつかんで目に見える成果を残したいという気持ちは強かったです。中途半端な状態で帰りたくはなかったので、そういったことをつねに自分に言い聞かせていた感じだったと思います。

――昔から物おじしない性格だったのか、海外で培われたものなのか、どちらですか?

中西:もともとバイタリティーと行動力は人よりあるほうだとは思います。それはブレない芯のある母親譲りかもしれないですね。とはいえ、もちろん悩むこともあります。でも、やるかやらないか、だったらやるしかないですし、やるんだったら後悔しないように、という気持ちです。いまは、「アジアで活躍できる女優になる」と決めたので、そうなるためにはどうしたらいいかというのを考えてつねに行動しています。夢を応援してくれる家族に恩返しするためにも、できるだけ早く結果を出せるようにがんばりたいです。

他言語を学ぶことで、新しい価値観に触れられる

――その後、中国映画『神奇旅行社』(中国では21年公開予定)で主演に抜てきされますが、どのようにして決まったのでしょうか。

中西:母がたまたま仕事で中国に行った際、お世話になった通訳さんに「娘が中国で女優を目指している」という話をしたんです。その方は芸能関係とはまったく関係ないお仕事をされているにもかかわらず、母が渡した私のプロフィルをいろんな制作会社に送ってくれました。そのなかのひとつに、ちょうど日本人女優を探している制作会社があり、監督とプロデューサーのオーディションを受けて主演に選んでいただくことに。本当に奇跡的なことでしたが、中国映画で日本人女優が主演するのは史上初と聞いて、それまでの努力が報われる思いでした。

――中国で初めてのお仕事がいきなり主演というのはすごいですね。実際に、中国の現場はいかがでしたか?

中西:中国ではクランクインのセレモニーがとにかく盛大なので、最初はそれに驚きました。そのあとロケ地の四川省では行ったことのないような山奥で撮影したのも印象に残っています。ただ、今回はほぼ全編中国語だったので、撮影後もホテルでずっと台本と向き合い続ける日々。中国語が話せるようになっていても、お芝居として言葉に感情を乗せないといけないですし、発音もきちんとしなければいけないというプレッシャーが大きかったです。

――海外のキャストやスタッフとうまくコミュニケーションを取るために、実践していたことはありますか?

中西: つねに感謝の気持ちを忘れないことと笑顔でいることです。中国の方に、私の笑顔を見ていると幸せな気持ちになると言っていただいたことがあり、そのときに笑顔こそが万国共通の言語なんだなと。そういったこともあって、現場ではいつも明るく笑顔でいることを心がけました。それから、大事なのは現地の言葉を積極的に使うこと。あまり話せないときは控えめになってしまいがちですが、たとえ一言二言でも、意外と喜んでもらえるものですから。相手の言葉で話すことによってコミュニケーションも取れますし、自分の語学力も上がるので、そういったことは意識したほうがいいですね。

――では、海外で仕事をすることのメリットといえば?

中西:自分の知らない世界を見ることができたり、他言語を学ぶことで新しい価値観に触れたりできるのは、すごくいいことだと思います。あとは、「日本人はすごく礼儀正しいよね」とほめてもらうことが多かったので、日本では当たり前にしていた挨拶や感謝の言葉を口に出すことがどれだけ大切かを知るきっかけにもなったかなと。海外に出たことで、日本の良さに改めて気が付くことができました。

――現在は吉本興業に所属されていますが、どういったいきさつですか?

中西:アイドルを卒業してからは、個人事務所で母と二人三脚でがんばってきましたが、吉本興業の関係者の方と偶然お会いする機会がありました。そのときに、中国での活動の話をしたところ、賛同していただき、吉本興業の女優部門の一員としてサポートしていただくことに。吉本興業と一緒なら、また違うステージに行けると感じて、所属させていただくことになりました。この出会いもミラクルだったなと思います。

――それでは最後に、今後どのような活動をしていきたいのかについてもお聞かせください。

中西:まずは中国語と武術を生かして中華圏で活躍したいですが、英語の勉強も始めているのでいつかはハリウッドにも挑戦したいと考えています。日本でも朝ドラや大河ドラマに出たいという夢があるので、これからもいろんなことを学んでいきたいです。

中西悠綺(なかにし・ゆうき)
1997年2月25日生まれ。三重県出身。2010年に結成された女性アイドルグループ「Tokyo Cheer2 Party」の一員としてデビューし、卒業までセンターとメインボーカルを務める。その後、アイドルと並行して女優活動も開始。主な出演作は映画『柳生十兵衛 ~世直し旅~』、『僕が君の耳になる』、『ある家族』など。舞台では『遠き夏の日』や『学園探偵 薔薇戦士』で主演を務める。中国で21年に公開予定の中国映画『神奇旅行社』では、日本人女優として初となる主演に抜てき。タイムマシンの研究をする女子大生が、友人や家族との愛情を育んでいく姿を演じている。7年ぶりに開催された週刊ヤングジャンプの「ギャルコン2021」では、グラビアに初挑戦し、グランプリを獲得。現在は、中国のSNSで16万人のフォロワーを持つ日本人インフルエンサーとしても活動している。

(ライター 志村昌美、写真 小川拓洋)

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