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ギタイCEOの中ノ瀬さん

ギタイCEOの中ノ瀬さん

宇宙用作業ロボットを開発するGITAI Japan(ギタイ、東京・大田)の最高経営責任者(CEO)の中ノ瀬翔さん(34)。同社製の自律制御型ロボットは8月末、米スペースXのロケットで国際宇宙ステーション(ISS)に搬送された。宇宙空間での様々な作業をロボットに代替させ、高額な宇宙飛行士のコストを100分の1以下に抑える画期的な試み。次のユニコーン(企業評価額10億ドル超の未上場企業)を目指すリーダーの実像に迫った。

「もう一度、我々とロボット開発に挑戦しませんか」。2018年1月、中ノ瀬さんはロボット工学の最高の頭脳と呼ばれたSCHAFT(シャフト)の創業者、中西雄飛さんをスカウトした。中西さんは東京大学情報システム工学研究室(JSK)助教も務め、ヒト型ロボットの研究開発を推進。13年に米グーグルにシャフトを売却して話題になった。

宇宙飛行士の時給は1500万円 莫大な「交通費」

中西さんはグーグルでヒト型ロボットの量産化を目指したが、プロジェクトは中断された。巨額の資金と人材を抱えるグーグルでもヒト型ロボットの量産化は容易ではない。「もう引退するか」と思っていた中西さんを思いとどめたのがギタイのメンバーだった。同社最高技術責任者(CTO)の上月豊隆さんやソフト開発責任者の植田亮平さんらはいずれもJSK出身者。中西さんは中ノ瀬さんの描いた「宇宙事業に的を絞り、高単価一点モノの汎用ロボットの開発に注力する」というビジネスモデルにも共感し、最高ロボティクス責任者(CRO)として仲間入りした。

中ノ瀬さんは、「地上では二足歩行型ロボットはまだ人に勝てない。量産化しても費用対効果は見合わないが、宇宙では違う。宇宙飛行士の時給は13万ドル(約1500万円)に上る。莫大な『交通費』がかかるからだ。船内の掃除や簡単なメンテナンスも全て宇宙飛行士が担っているが、それを作業用ロボットで代替すれば、コストは100分の1以下ぐらいに下がる。宇宙に商機がある」と語る。

国内トップのロボットエンジニア集団はわずか3年で米航空宇宙局(NASA)も認める宇宙用作業ロボットを開発した。1号機「S1」は米ナノラックスに納入し、ISSで今秋から実証実験を開始。様々な船内作業のほか、ソーラーパネルの組み立て作業を行う。日米の宇宙事業関係者が注目する画期的な実証実験だ。

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