地域の多様性が革新生む 石垣島・バングラに学ぶユーグレナ社長 出雲充氏(4)

出雲充 ユーグレナ社長
出雲充 ユーグレナ社長

多様な人材が活躍できるようにするダイバーシティー経営は日本企業の成長に欠かせないテーマです。しかし、ユーグレナ社長の出雲充氏は女性やLGBT(性的少数者)に比べ、年齢と地域のダイバーシティーについてはこれまでほとんど注目されてこなかったと指摘します。前回のコラムでは多様性の幅を10代にも広げる年齢のダイバーシティーについて聞きました。今回は地域のダイバーシティーに話を広げてもらいます。

(3)「最高未来責任者」は10代 新たな発想、必ず実行

当社のビジネスの核であり、社名にもしている微細藻類の一種で和名ではミドリムシ、学名「ユーグレナ」の培養拠点は沖縄県の石垣島にあります。東京大学発ベンチャー企業として起業した当初、屋外で大量培養する技術の研究のために実験用の培養プールが必要だったのですが、それを自前で首都圏に持つことは資金的に困難でした。ところが、そんな私たちにプールを無償提供してくれる企業が現れました。それが石垣島でクロレラを生産していた八重山殖産(現在はユーグレナのグループ企業)です。そして2005年、同社の協力のおかげで、私たちは食用ユーグレナの屋外大量培養に世界で初めて成功しました。

普段と違う脳を働かせ、イノベーションを生む

そんなご縁でお付き合いが始まった石垣島に、本社のある東京から行くには時間もお金もかかります。頻繁に行き来するのは決して効率的とは言えません。しかし、私は石垣島に拠点を持ち続けることに強いこだわりを持っています。イノベーション(革新)を起こすためには、無理やりにでも違う地域に住む人や違う文化圏で生活している人と継続的に意見をぶつけ合う必要があると考えているからです。

石垣島には独自の文化や伝統、生活様式が存在し、人々は作物の栽培に関しても独自の工夫を凝らしています。そこで長年、生活を営んできた「おじい」や「おばあ」と島の飲み屋で飲んでいると、都会でさまざまな大学の先生に聞いても答えが見つからなかった問題のヒントが得られることがあります。そういう体験をこれまでに何度もしてきました。首都と離島、都市と地域、どちらか一方では解決できない問題も両方でコミュニケーションすることで乗り越えることができる。だからこそ、年齢のダイバーシティーと同様に、地域のダイバーシティーも非常に重要だと考えています。

同じ製品を大量に作ったり、すでに明確になっている解決策を実行したり、改善・改良を繰り返したりしていく仕事では効率性が重要です。そのためには1カ所に集まる方がいい。でも、これまでの延長線上ではない全く新しいアイデアを出してイノベーションを起こそうというのなら、非日常的な空間に身を置き、普段とは違う脳の部分を働かせることが不可欠だと思います。

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バングラデシュの方が日本より進んでいる一面も
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