男性育休の取得率、初の1割超え 業界・企業規模で差

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2021/10/11
男性育休の取得率が初めて1割を超えた(写真はイメージ=PIXTA)
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厚生労働省は2021年7月、雇用均等基本調査を発表。20年度に育児休業を取得した男性は12.65%で初めて1割を超え、過去最高を記録しました。政府目標の13%には届きませんでした。調査では産業や規模別のデータも公開されましたが、データをよく見ると、取得が金融、大企業などに偏っていることが分かります。リクルートワークス研究所の主任研究員で、雇用政策や家族政策が専門の大嶋寧子さんに雇用均等基本調査を読み解いてもらいました。

■男性育休、企業が本気で捉え始めた

日経xwoman(以下、――) 男性の育児休業取得率が、初めて1割を超えました。

男性の育休取得率が1割を超えた

大嶋寧子さん(以下、大嶋) 育児・介護休業法の改正による影響が大きいとみています。企業に対し、男性、女性にかかわらず自身や配偶者の出産や妊娠を届け出た社員に育休を取る意思があるかを確認するよう義務づけるものです。父親の「育休」だけでなく、子どもの誕生直後に父親が「産休」を取れるようにもなります。

―― まだ施行前の法律ですが、効果が出てきているのですか?

大嶋 法改正は21年に成立、22年4月から順次施行されますが、議論は18年ごろから政治家の発言や与党議員連盟、政府の懇談会と多様な場で行われており、その内容を大企業が本気で捉え始めました。法改正に向けた検討が具体化する中で、企業の人事も男性の育休取得拡大に向けて、より積極的に働きかける必要があると認識し始めたのです。

実は、男性の育休取得は、企業にとっても悪い話ではないんです。企業は出産などのライフイベントにかかわらず女性が組織に貢献し続けられるよう、さまざまな努力を重ねてきました。その中で、男性が育児休業を取得する、というのは、女性が活躍する上で必要なピースの一つでした。

私が話を聞く人事担当者は「女性活躍を本気で実現するためには、男性も含めて職場全体の意識を変える必要があり、男性の育児休業はそのための施策である。ただし人事施策はすぐに効果が出るとは限らないので、改正法の施行を待たず取り組みを充実させている」と話していました。