日経xwoman

ベンチャーが老舗企業の変革の突破口に

―― 投資会社との交渉は決別でトーハンはすぐにGO。何が結果を変えたのでしょう?

森本 トーハンの社内でも、このままの経営ではいけないという空気があったのだと思います。何かを変えなければいけないし、何か新しいことをやりたい。そんなときに「本」と「マッチング」という、これまでにない本の付加価値を見いだすビジネス書店の構想を聞いて、変革の突破口になると思ってくださったようです。

事実、トーハン社内にあるスタートアップ事業「エンタメ・スタートアップ・ラボ」は、当社への出資後に社内ベンチャーの動きが活発になり、以前よりも新規事業の話が出やすくなったと聞いています。

資金調達後、トーハンの担当者からも「『本』と『本屋さん』が未来に向けて存在し続けるためには、利便性とは異なる次元で心に響く本の魅力を伝える、新たな提案が必要と考えています。森本さんと一緒に仕事をすることで、新しい本の世界が見えてくると期待しています」という言葉がありました。

―― 出資する側にとっても、業績回復や利益以外のメリットが生まれたのですね。

森本 私が言うのもおこがましいですが、老舗企業にとっても、新しいアイデアを持つベンチャー、起業家、個人事業主に投資してみるのは一手だと、今回の経験で思いました。大企業にしてみれば少額の投資金でも、小規模企業にとっては大金。その大金さえあれば、これまでにない新しいビジネスを生み出せる企業や起業家は多く存在すると思います。

投資によって私たちのような小さな会社が生き残ることと引き換えに、私たちが老舗の大企業に提供できる価値もきっとあります。大企業の方は、ぜひ企業の公式サイトの問い合わせページに、新規事業募集窓口を作ってほしいと思います。

「経営改革の手段を探している企業にとって、斬新なアイデアを持つベンチャーへの出資は変革への突破口にもなると思います」(森本さん)

また、小さな会社や駆け出しの起業家は、「うちなんかが大企業と何かできるわけがない」と思わず、どんどんアプローチしていいと思います。大企業の担当者は普段、自社と同規模の企業情報に注目してしまうだけで、これから芽が出そうな新しいパートナーを探している場合もあります。大企業もここ数年で体制は変わってきました。積極的にアクションを起こしてみると、思わぬ方向へ話が進んでいくかもしれないです。

森本萌乃
MISSION ROMANTIC代表/Chapters書店主。1990年東京生まれ。2013年に新卒で電通へ入社、4年間プランナーとして従事した後、My Little Box、FABRIC TOKYOへ転職。企業在籍中にパラレルキャリアにて自身の会社を創業し、20年より一本化。21年6月にグランドオープンした本×マッチングの新書店「Chapters bookstore」は、登録者述べ2000人を超え、20~30代の独身男女から支持を受けている。

(取材・文 力武亜矢=日経xwoman、写真 洞澤佐智子)

[日経xwoman 2021年11月12日付の掲載記事を基に再構成]

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