ウーマン・オブ・ザ・イヤー、大賞に上場の双子起業家2022全受賞者を発表

日経ウーマン

2021/11/27
日経ウーマン

女性のキャリアとライフスタイルを支援する月刊誌『日経WOMAN』(日経BP 東京都港区、編集長:藤川明日香)は、様々な分野で目覚ましい活躍を遂げた女性を毎年表彰する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」の受賞者を決定しました。大賞はcoly(コリー)代表取締役社長の中島瑞木さん(33)、代表取締役副社長の中島杏奈さん(33)で初の姉妹受賞です。お2人を含む8組9人が受賞となりました。

女性向けゲームでマザーズ上場、次世代起業家も支援

大賞に選ばれた中島瑞木さん、杏奈さんは、2014年にcolyを創業し、今年2021年2月に東証マザーズ上場を果たした双子の姉妹。coly は、9割以上が男性向けであるスマホゲーム市場において、女性にターゲットを絞ったコンテンツを展開しています。女性たちの気持ちを前向きにするストーリーやキャラクターが人気を博し、発売したタイトルが次々にヒット。この5年で売り上げを約50倍に拡大させ、海外へも進出する一方で、今年8月には、女性や若手の起業家に投資して経営をサポートするチーム「MO inv.(エムオーインベストメント)」も発足させています。競争の激しいエンタメ業界で独自の成長を遂げ、その利益を次世代に還元する姿勢が、新しいタイプの起業家像を体現していると評価されました。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022総括

コロナ禍も2年目を迎えた2021年。混沌とした時代に光が当たった女性たちに共通するのは、「人のため、より良い社会を築くために仕事をしたい」という、真摯なまでの力強いメッセージです。「人々に明日を生きる勇気を与えたり、そっと背中を押したり。ポジティブな感情を動かすコンテンツづくりを目指す」と語ったのは、ユーザーの95%が女性のエンタメ会社を双子で起業した中島瑞木さんと杏奈さん。商業主義に流れがちなゲームやネット市場で異彩を放つ2人の存在は、すがすがしいほどに正論をビジネスモデルに組み込む潔さがあります。まっとうであるがゆえに、感情を揺さぶるほどのメッセージ力を有するリーダーたちの言葉は、より良き社会をつくりたいと願う思いに満ちています。「研究者の仕事は税金に支えられているからこそ、社会に恩返しするのが使命」と語る科学者。「キャリアもスキルも筋トレと同じで、継続すれば身に付く」と話すのは、ライフイベントに翻弄されながら半導体業界を広く渡り歩いてきた部長。「数字の達成よりも、“思い”が大切」と言い切る経営者。いずれも組織に多様性を持ち、仲間と共感し伴走しながら、ビジネスで社会的課題に取り組む女性たちが目を引きました。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022 受賞者

【大賞】
coly 代表取締役社長  中島瑞木(なかじま・みずき)さん(33)
   代表取締役副社長 中島杏奈(なかじま・あんな)さん(33)

双子の姉妹で、女性向けエンタメ会社を設立。スマホゲームが大ヒット。
売り上げは5年で50倍に。海外への進出、マザーズ上場も果たす
coly代表取締役社長の中島瑞木さん(右)、代表取締役副社長の中島杏奈さん(左)
【プロフィル】
中島瑞木さん
1988年生まれ。東京大学教養学部卒業後、外資系証券会社に入社。学生時代から運営していたウェブメディアの経験を生かし、2014年にcolyを創業。

中島杏奈さん
1988 年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、産業経済新聞社に入社。姉とともに創業したcolyでは、マーケティング戦略、コンテンツ戦略を統括。
株式会社coly(コリー)
2014年に中島さん姉妹が設立した、女性向けエンタメコンテンツ企業。これまで、スマホゲーム「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」「魔法使いの約束」などをリリースし、いずれもヒットを記録。舞台化やグッズ販売の事業も展開。韓国、台湾、香港に進出している。

中島瑞木さん、杏奈さんは大学生時代にウェブニュース制作のアルバイトを経験した後、2人で独自のウェブメディアを運営。失敗と成功を繰り返すなかで、「コンテンツを通して、人々にあすを生きる勇気を与えたい」という思いは変わらなかった。大学卒業後はそれぞれ就職したものの、「やはりコンテンツづくりがしたい」という思いが募り、ともに1年以内で退社。市場調査をするなかで女性向けスマホゲームの魅力と可能性に気づき、ゲーム業界経験者の仲間を得て、ストーリーや世界観にこだわったコンテンツの開発を進めてきた。

大賞受賞にあたっての1つ目の評価ポイントは、「女性向けスマホゲームを中心とした新しい市場で、マザーズ上場、海外進出という圧倒的な成果を出した」こと。「ユーザーから求められる面白いコンテンツ」をつくるため、創業以来、外部資本を入れず、開発にまい進。ユーザーに勇気を与えたり、背中を押したりするストーリーやキャラクターが、絶大な支持を集め、大きなヒットを生み出した。

また、審査員の意見が一致した、もう1つの評価ポイントが、上場まもない時期であるにもかかわらず、次世代の若手・女性起業家を育てる投資・経営サポートチーム「MO inv.(エムオーインベストメント)」の活動を発足させた点。「双子の姉妹でとことん議論をして事業を育ててきたように、経営者たちの“壁打ち相手”になりたい」と、現在、10社ほどの支援先を検討している。

この成功に至るまで、一緒にものづくりをする仲間やユーザーの声に積極的に耳を傾け、一歩一歩、堅実に積み重ねてきた2人。事業への純粋な思いを大切にしながら、信頼する仲間と徹底的に対話をしながら努力を重ねる姿勢は、多くの働く女性たちの仕事への思いを刺激し、理想を実現することへの希望を与えるロールモデルになるのではないかと編集部では考えている。