仕事も育児も!ワーママは持続可能な「エコキャリ」で
今、多様なジャンルで「持続可能」がキーワードになっています。ワーママの働き方でも同様です。コロナ下で在宅勤務が普及し、時短を取らなくてもフルタイムを維持しやすくなったことで、キャリアも育児も両方を追っていきたいと考えている人が増えています。一方で、仕事と家事・育児のメリハリがなくなっていると感じている人もいるでしょう。キャリアダウンはしたくない、仕事のやりがいや成長は諦めない。でも、睡眠時間や子どもとの触れ合いを犠牲にするなど、無理もしたくない……。
仕事を上手にコントロールし、長期的に仕事と育児を持続していく意識はますます必要になっていきます。この、持続可能な「エコドライブなキャリア=エコキャリ」実現のために、これからのワーママが身に付けるべき戦略をお伝えします。
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リモートワークが進んだことで、育児と仕事の両立面で恩恵を感じている人は多いことでしょう。通勤時間が不要になり、時短勤務にしなくても保育園のお迎えに間に合うなど、フルタイムで働き続けやすくなった、というケースが増えています。しかし、リモートワークは育児と仕事のメリハリがなくなり、シームレスになってしまう、という負の側面もあります。もっと仕事をしたい、成果を出したい、と思うあまりに、無限に仕事をしてしまい、結果として睡眠不足、翌日は家事と育児でヘトヘトに……。読者の中には、そんな悪循環に陥っている人もいるのではないでしょうか。
でも、体にムチを打って無理をするという働き方は、長続きは難しいもの。バリバリ仕事をしたい、という欲をリモート勤務で満たしている人がいる一方で、リモートワークができない職種で、諸事情により時短勤務を続けて育児中心という人もいるでしょう。そんな人も、本音ではもっと活躍したい、やりがいを感じたい、と願っていませんか。
今回、日経xwoman編集部では「無理なく、自分らしく、上司や同僚とのいい関係を維持したまま、上手に仕事をコントロールし、長期的に仕事と育児を持続していく働き方」のことを、「エコドライブな働き方=エコキャリ」と名付けました。
イメージとしては、自分が仕事と育児のバランスをハンドリングする、という働き方です。具体的には、時々仕事で無理することはあっても「ずっとは無理しない」、子どもの就学や受験などで少し仕事を控える時期はあるとしても、「仕事に注力できる時期は全集中する」といった、自分が仕事の主導権を握る状態を指します。
でも、周囲から、わがまままで自分勝手な人、と見られてしまえば、自分に取ってマイナスに。職場で浮いたり、重要な仕事が任されなくなったりして、最終的に退社を余儀なくされてしまうこともあります。周囲からの理解を得ることも大事で、「自分勝手にやりたい仕事だけをマイペースにやるのではなく、部署として大事な仕事も責任を持ってこなし、しっかり成果を出す」ことも必要になるでしょう。
そして、社員それぞれが「持続可能」な働き方ができるということは、会社組織としても「持続可能」につながります。どの業界でも人材不足に悩み、企業の人事部が採用活動に力をいれている状況です。そんな中で、経験値を持つワーママが「もう続けられない」と離職・転職をしてしまうことは企業にとっても死活問題です。つまり、個人が仕事へのやりがいと育児とのバランスを上手に保ち、持続可能な働き方をすることは、会社や社会にとっても有益なのです。
日経xwomanの読者に、アンケートを通じて、こうした「エコキャリ」を体現している人が周りにいるかを聞いてみたところ、半数以上が「周りにいる」と回答しました。(アンケートは2021年8月4日~25日に実施。回答者数は45人)
さらに、こうした「エコキャリ」という働き方をしている人に対し、「割り切りと、優先順位のつけかたが秀逸」といった具合に、好意的な意見や憧れの声が多数寄せられました。
実際に「エコキャリ」を進められている人は、周囲から見るとどんな強みや特性を持ち、何が優れているのでしょうか。声を集めました。
(41歳/放送・広告・出版・マスコミ/年中、小3のママ)
自然体、無理をしていない。
(45歳/卸売・小売業・商業/小6、中学生以上のママ)
ゴーイングマイウェイ。他人に何か言われても気にしない「鈍感力」がある。
(40歳/食品・医薬・化粧品/2歳、小1のママ)
自分が大変なときに周りのサポートを受けられる環境をつくっている。
(47歳/建設/小6のママ)
人の評価を必要以上に気にしない。
(51歳/卸売・小売業・商業/小4のママ)
あまり自分と他人を比較しない。 他人に干渉しない。
(53歳/その他製造/小4、中学生以上のママ)
まさに自分こそ「エコキャリ」をしている、という人もいました。
では、読者の皆さんは今どのような働き方をし、どんな働き方を理想としているのでしょうか。
今、どんな働き方をしている人が多い?
今の働き方はどの形に近いのでしょうか。今回、日経xwomanが定めた名称の定義は、以下の通りです。
【フルキャリ】:育児と仕事、両方とも手を抜かず結果を出したい
【ゆるキャリ】:育児、仕事はほどほどに、個人の趣味など自身の人生も楽しみたい
最も多かったのは「フルキャリ」で、次に「バランスが取れている」(=今回提案する「エコキャリ」)でした。自由回答には下記の意見がありました。
昔ながらの考え方が抜けないため。
(52歳/自動車・輸送機器/中1のママ)
●現在、やや仕事が中心(フルキャリ)
第1子、第2子とも仕事を継続する上で時短での復帰は選択肢にありませんでした。
(42歳/電機、電子機器/2歳、年長のママ)
もともと小さい時からそういう働き方をしたいと思ってきたから。
(46歳/企画・調査・マーケティング/小4のママ)
子どもが巣立った後に何も残らないのがつらいので、今、仕事をそれなりに頑張って居場所をつくっています。
(40歳/食品・医薬品・化粧品/2歳、小1のママ)
子育て中の女性職員は自分だけだから周りと同じように働かざるを得ない。
(36歳/公務員/年長のママ)
●仕事と育児のバランスは取れている(エコキャリ)
時短を使いながら、キャリアも育児も、いい感じのバランスが取れているから。満足度は高いです。
(34歳/金融・証券・保険/年少、年中、小2のママ)
仕事、育児、介護をしながらだから。
(47歳/卸売・小売業・商業/小6のママ)
子どもがまだ小さいため、定時で帰っています。
(32歳/公務員/2歳のママ)
自分が子どもの頃、仕事に疲れた母に八つ当たりされるのが嫌だった。仕事は、私が母親以外の立場で生きていくために必要だけど、自分が疲れて子どもにとばっちりがいかないことも大事です。だから、自分があまり無理しないくらいで両立をしたい。
(35歳/情報処理・SI・ソフトウエア/0歳、年中のママ)
●仕事より、やや育児中心(ゆるキャリ)
育児を中心にしたいが、専業主婦になってすべてを育児にすると子どもに対して力を入れ過ぎて、子どもの意思に沿わない「お受験」などを強要しそうだったので、仕事は続けたい。
(40歳/放送・広告・出版・マスコミ/2歳、小1のママ)
●仕事より、育児が中心
未就学児の子がいて、手がかかるため。
(39歳/公務員/年長、小3のママ)
現在は下の子が未就学児なので育児を中心にしている。子どもが小学校に入ったら、働き方が少し変わるかもしれません。
(41歳/フリーランス/年中、小2のママ)
子どもが昨年受験生だったので子どもを中心にしました。
(51歳/医療/中1のママ)
現状の働き方に対しては過半数の人が満足しています。
一方で、その働き方が今後も続けられそうかといえば、いいえ、わからない、という人が5割を超えました。
現状に満足していると回答した人の中でも30.4%が「その働き方を今後も持続できるかどうかわからない」という、先が不安な様子が見られました。
下記のような理由が挙げられました。
(42歳/電気、電子機器/2歳、年長のママ)
今の働き方に満足していて、今後もその働き方を持続したいが、会社からはもっと責任を伴う労働時間のアップを暗に求められていて、非常に息苦しい。
(41歳/放送・広告・出版・マスコミ/年長、小2、小5のママ)
現在はバランスを取っているが、子どもの成人とともにバリキャリに移行したいと思っているので。
(48歳/公務員/中学生以上のママ)
仕事に対して達成感、やりがいは欲しい
働く意味や目的は、人によってさまざまです。では、働くことに、どんな意味を感じているのでしょうか。仕事に対して求めていることを聞きました(複数回答可)。
働き方別に見ると、「ゆるキャリ」と自己申告した回答者全員が「達成感ややりがいを求めている」と回答していました。決して「楽をしたい」「手を抜きたい」と思っているわけではないことがわかります。
今の働き方、求めていることはわかりました。では、理想的な働き方はどれでしょうか。
今どきワーママの理想像
2位の「フルキャリ」(32.6%)を大きく引き離し、首位に立ったのが、「エコキャリ」(46.5%)でした。無理はし過ぎない、でも、仕事でやりがいは得たいという、今どきの多くのワーママの働き方の理想像が透けて見えます。
(文 日経xwoman編集部)
[日経xwoman 2021年8月27日付の掲載記事を基に再構成]
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