就活生に動画でアピール 社内潜入やミュージカル風

バンダイが就活生向けに制作した「社内潜入動画」

採用活動で文章と写真だけでは自社の魅力を伝えきれないと考える企業が増えている。新型コロナウイルス下で失われた学生との接点を取り戻すべく、社内の雰囲気を動画で伝えようと工夫を凝らす。就活生に対しても、自己PRを録画させて選考に役立てる動きが広がっている。押し寄せる情報と新形式のアピールチャンスを生かせるか、就活生の対応力が問われる。

社内潜入動画を配信

「今日は本社に潜入していきたいと思います」。バンダイが2月に公開した動画はユーチューバーさながらの明るい掛け声で始まる。楽しげに語り合う社員の姿を、華やかなテロップや効果音と共に映し出して社内の様子を伝える内容だ。

動画でリポーターを務めた人事部の勝野由麗氏は「就活生との接点を増やしたい」と話す。背景にあるのは新型コロナ下で対面式の合同説明会が中止になり、学生との出会いが減ってしまうのではないかとの危機感だ。そこで若者から人気のユーチューバーを参考に、社内の雰囲気を伝える動画を制作した。公開後、多くの学生に再生され、2022年卒のエントリー数は21年卒と比べて約1.5倍に増えた。

TDKの動画ではプロのダンサーが社員と就活生を演じる

「(あらゆるモノがネットにつながる)IoT、VR(仮想現実)、サステナビリティー(持続可能性)、どの企業も流行の英語ばかり」。TDKは5月に「就活あるある」を歌い上げるミュージカル風の動画を公開した。広報グループの井上剛氏は「学生との距離感を縮めたい」と考え、共感を得られるような内容にしたと話す。

動画のテーマは「(T)尖(とが)った(D)大胆さ、(K)くれよ」。人事部の加賀谷逸香氏によると、求めるのは「大胆な発想ができて、臆さずにアイデアを出せる」人材だ。新型コロナ下で就活生との接触がオンライン中心になるなか、若手が活躍できる自由な社風を動画で伝える。

似通ったエントリーシート(ES)を何枚も渡された社員が「学生団体の代表って何人いるの」とあきれるシーンも用意した。就活生がドキッとするような演出だが、井上氏は「マニュアル通りのアピールよりも、個性を出してもらった方が信頼関係を築きやすいと伝えたかった」と話す。

採用活動支援を手がけるリンクアンドモチベーションの高嶋大生氏は、動画は学生からの内定承諾率を向上するのに有効なツールだと語る。「新型コロナ下で社風が伝わりにくくなり、就職先を決められない学生が増えた。動画では言語化できない雰囲気を伝えられる」と説明する。一度公開すれば多くの学生が視聴でき、採用の効率化にもつながる。

就活生は増え続ける動画をどのように追うべきか。高嶋氏は「専用のアカウントで企業をフォローすれば情報が埋もれない」と助言する。文字が多い説明会の動画は移動中も視聴できるが、社員座談会などは「落ち着いた環境で集中して見る方がいい」と話す。社員の雰囲気を感じるには表情や話し方をしっかりと見る必要があるとし、目的に応じて視聴方法を分けることが大事だと説明した。

自己PRも録画で

上智大学3年生の女子学生は2021年夏、4社のインターンの選考で自己PRなどを録画して提出した。「面接と違って何度も撮り直せるのが利点だ」といい、1分間の動画に1時間かけて納得できる映像を作り上げた。「ESの文章は『である』という語尾が続き、冷たい印象を与えそうで不安だ。動画の方が人となりが伝わる」と話す。

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「取締役にタメ口」
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