コロナ禍によるオンライン化で転職を決意
そして周囲の協力を得ながら急ピッチで準備を進めたイベントは、4月末に見事成功。想像以上の反響があったことで、オンラインレッスンをレギュラー化して提供することも決まりました。また、業界内でいち早くオンラインレッスンを開始したことで、他社にそのノウハウを提供するセミナーを開催するまでになったと言います。
しかし、このとき彼女の中には、「転職」という選択肢が浮かんだそうです。
「コロナの影響で仕事の内容も働き方も急激に変わり、緊急事態宣言が解除されても企業の広告出稿は元に戻らないままだったので、この先も業界専門誌の広告営業や編集に携わっていくイメージが湧かなくなりました。そのため、当時の会社に居続けるよりも、今後はオンラインを軸としたフィットネス関連のサービスや、システムを提供する企業に所属し、非対面・非接触がベースの店舗運営に貢献していきたいと思うようになりました」

業界歴が長いからこそ、あえて選んだ直接応募
転職を決意した工藤さんは、2020年7月から活動を開始。転職エージェントなどは利用せず、企業の公式ホームページなどで採用情報をチェックし、直接応募する方法を選びました。
「フィットネス業界歴が長いので、業界のだいたいの企業数や、それぞれの会社の事業内容は把握していました。また、過去に転職を経験したこともあり、エージェント経由で紹介してもらえるフィットネス業界の案件が少ないことも分かっていたので、だったら自分が行きたい企業に直接応募しようと思ったんです」
応募する企業の軸は、フィットネス業界の経験を生かせるオンラインサービスを提供しているIT関連企業であることと、新しい事業にチャレンジしている企業であること、テレワークが可能な企業であることの3つ。
「仕事を通じて成長したいという思いが強いので、これから事業を拡大していくベンチャーで働きたいと考えていました。また、移住が目的で転職活動をしていたわけではないのですが、私は生まれも育ちも東京で、だからこそ地方で暮らすことに憧れがあったので、テレワークが可能な企業であれば、移住のチャンスもあるだろうと思ったんです」
テレワークで求められる力とは?
工藤さんが今回の転職活動で応募したのは、合計4社。そのうち3社は面接に進み、8月中に2社内定を獲得。面接では、テレワークだからこそ必要な力をアピールしたと言います。
「テレワークでは、出社時と同様の生産性を維持することや、コミュニケーション不足に陥らないよう、メンバーとの連携が重要だと思いました。そのため、面接ではオンラインイベントを開催したときにも発揮した『巻き込み力』と『推進力』をアピール。自分の言葉で面接官と話すことも大切だと思ったため、想定質問に対する回答を自分で用意し、本番で自信を持って話せるように練習もしました」
内定を獲得した2社のうち、転職先である現在の会社――hacomonoで働くことを決めたのは、完全テレワークで働けて、かつ、今後の成長が期待できる事業だと感じたから。「操作性とデザイン性を兼ね備えたシステムを提供していて、そのブランディング力の高さに魅力を感じていたので、入社を決めました」
こうして2020年11月にhacomonoに入社しました。
(取材・文 青野梢=日経xwoman doors、写真 本人提供、鈴木愛子=取材時写真)
[日経xwoman 2021年9月28日付の掲載記事を基に再構成]