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日経 X woman

何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで……「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントが。元テレビ東京の人気アナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍している秋元玲奈さん(36歳)の失敗図鑑です。

「原稿を正確に読む」だけではアナウンサー失格

テレビ東京の人気アナウンサーとして約13年間、活躍してきた秋元玲奈さん。リオデジャネイロオリンピックのキャスターなどを担当後、結婚、出産を経て2021年に退職。現在はフリーアナウンサーとして活躍中で、21年12月17日には第2・3子となる双子を出産した。

「今は、家族との時間を大切にしながら、自分のペースで仕事ができることに感謝しています。精神的にも落ち着いていますし、現在の働き方は自分に合っていると思います」とほほ笑む。

テレビ局のアナウンサーといえば、華やかで知的なイメージがあり、毎年志望者が殺到する人気職業。秋元さんも幼い頃から憧れ続け、学生時代には、アナウンサーになるためにプラスになる部活動や進学先を選んできたと話す。

「物心ついたときから、話し好きな子どもだったので、テレビに映るニュースキャスターに憧れるように。キリッとニュースを読む姿をかっこいいと感じ、小学生の頃には『将来、ニュースキャスターになる』と決めていました。中高では演劇部に所属して発声を学び、アナウンサーを輩出している大学へ進学。ところが、大学1年生のときに入ったアナウンサー養成スクールでは、周囲との実力差にがく然とするばかりで、すぐにやめてしまったんです」

自己流でアナウンス技術を学び、業界研究や面接対策をしながら就職活動を迎えたものの、志望していた民放キー局はすべて落ちてしまった。テレビ東京のみ、前回の面接から最終面接までの期間が空いていたため、その間に想定問答の練習や面接対策をしっかり行い、最終的に内定を獲得できた。

しかし、秋元さんは「私はアナウンサーの仕事を本当に理解していなかったんです。原稿を正確に読めればいいと考えていたのですが、入社してすぐ、それだけでは現場で通用しないと痛感しました」と話す。

心を閉ざしがちだった新人アナ時代

幼少期からの夢をかなえ、アナウンサーとして社会人生活をスタートさせた秋元さん。しかし、入社してすぐ、海外育ちのコンプレックスとアナウンス技術の未熟さを痛感し、周囲に心を閉ざしてしまった。

「父の海外赴任により11歳頃まで数カ国に在住していたので、日本語にコンプレックスがありました。研修では、先輩アナウンサーに日本語の使い方や話し方の間違いを指摘され、落ち込むように。『私にはこの仕事は向いていない』と思いました。すっかり自信を失ったために、周囲とのコミュニケーションも希薄になり、社内の人に『愛想がなく、話し掛けにくい新人』と思わせてしまいました。今振り返ると、自分が悩んでいるからといって、周囲に心を開かなかったのは20代の大失敗。気軽に話ができる関係を築けず、ポジティブな印象を与えられなかったんです」

「アナウンサーといえば、いつも元気でニコニコしているイメージをお持ちの方が多いと思いますが、私はまったくそうではなかった。『かわいくない』新人だと思われていたと思います」

「アナウンサーといえば、いつも元気でニコニコしているイメージをお持ちの方が多いと思いますが、私はまったくそうではなかった。『かわいくない』新人だと思われていたと思います」

自分でも練習を重ねながら、なんとかアナウンス技術を磨いていき、情報番組のお天気コーナー担当としてアナウンサーデビュー。2年目には、スポーツニュース番組の金曜日キャスターを任されることになった。

ところが、ここで秋元さんは再び壁にぶち当たる。それまで「原稿を正確に読む」ことを一番に考えていたが、スポーツ番組では選手や監督を取材し、番組に生かせるコメントを引き出さなければならない。入社以来、あまり周囲とコミュニケーションを取ってこなかった秋元さんにとって、現場取材は大きなハードルとなった。

「これまで私は人に対して、深い関心を持ったことがなかったんです。でも、先輩方は、積極的に現場、例えば野球場などへ出向き、選手や監督に顔を覚えてもらい、話ができる関係性を築いていました。普段から人とコミュニケーションを取ってこなかったことを後悔しましたし、このときようやく、『キャスターはもらった原稿を読んでいるだけではだめだ』と気づいたんです」

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