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事務機メーカーのコニカミノルタがヘルスケアなどへの事業構造の転換を進めている。社長時代から主導してきた山名昌衛会長は「事業撤退という過去の悔しさをバネにしている」と語る。足元でもコロナ禍の影響を受け厳しい事業環境だが、困難な時ほど会社の将来に向けた種まきが重要だと話す。

――新型コロナウイルスの感染拡大や物流の混乱などで事務機事業が傷み、赤字が続いています。コロナ禍で経営をかじ取りするリーダーに求められることとは何でしょうか。

「『冬に種をまく』ということです。コロナ禍の経営環境では『こんなことが起こるのか』というくらいにいろんな問題が起きています。でも私のこれまでのビジネス人生で楽だったことなんか一度もありませんでした。事業環境というのは厳しくて当たり前なんです。経営が苦しくても先行投資などを全てやめてしまえば、短期的な数字を作ることはできます。ただ経営者に求められていることは、会社の将来のために何を残すのかということではないかと考えています。苦しい環境でも種をまくことが重要です」

「もう一つ大事なのは、このように経営環境が苦しいのは強靱(きょうじん)な企業体質を作るための試練なんだというメッセージを社内で伝えることです。経営者が『あれがあったからこうなってしまった』という言い方をするのはよくありません。この試練を乗り越えたらもっと強くなれると信じていますし、全ての社員にもそう思ってもらいたいです」

――社長時代から計測機器や遺伝子検査など新規事業の創出に注力してきました。

「これは2006年に(デジタル対応への苦戦で)カメラ事業から撤退した時の悔しかった経験が根幹にあります。カメラは会社の祖業でしたし、私の先輩たちが何十年にもわたって作りあげてきた事業です。私もミノルタ入社以来、ずっと携わってきたのであの時は本当に悔しかったです」

「その時に、次の時代に通用するような付加価値を新たに生み出してやるんだと強く思いました。カメラという商品は撤退しても、光学技術や画像センサー、材料の合成技術などは磨き続けることで成長分野につなげられます。悔しさをバネにして、人的資源とコア技術を磨き続けて成長領域に振り向けることが経営者としてやるべきことだと信じて続けてきました」

コニカミノルタ会長 山名昌衛氏

コニカミノルタ会長 山名昌衛氏

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