人間はさまざまな医療技術を進歩させ、生活の質を改善してきた。ところが、生理やつわりといった女性特有の症状は放置されがちだ。英ガーディアン紙の報道によれば、女性の9割に出るPMSより、男性の2割が経験する勃起障害(ED)の方が研究は5倍も多い。当事者の苦しさが意思決定層の男性に理解されやすいかどうかで、生活の質が左右される現状がある。

もちろん、妊娠・出産に適した年齢があることを若いうちから知っておくのは大事だ。その際にも女性の選択肢を増やすという視点を大切にしたい。そして産んでも産まなくてもどんな人も幸せに生きられるのが豊かな社会だ、という前提を改めて共有したい。

スプツニ子!
アーティスト、東京芸術大学デザイン科准教授。インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科、情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。RCA在学中より、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映した映像インスタレーション作品を制作。2013年マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任。その後、東京大学生産技術研究所特任准教授を経て、19年から現職。

[日本経済新聞朝刊2021年10月18日付]