「ずらす対応」は、人とつながるチャンスを逃す

ダーバーによると、ずらす対応は「会話におけるナルシシズム」の表れであり、人とつながるチャンスをことごとく潰しています。

ずらす対応は基本的に、自分について話すものです。一方で、受けとめる対応は、多くの場合他者に向けた質問です。

ただしこの質問は、真摯な好奇心にもとづいたものである必要があります。もっと多くの情報を浮かび上がらせるために質問するもので、自分の意見をそっと押しつけるようなものであってはいけません。

つまり、

「それってムカつかなかった?」

のような質問ではなく、

「あなたはどう反応したの?」

など相手が自由に答えられるような質問です。目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです。

そういう意味では、穴埋め問題のような質問は便利です。

「あなたとロジャーがけんかしたの、それって……?」

のように質問することで、まるでバトンを相手に渡すようになり、受けとった話し手は好きな方向に話題を展開できます。

質問する目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです

ここで、「あなたとロジャーが口論になったカフェは、55番街? それとも67番街だっけ?」のように、話し手の思考の流れや感情をそらすような、本筋とは関係のない細かな質問はしないようにしましょう。

どこにいたか、何時だったか、何を飲んでいたか――こうしたものは、実際に何が起きたか、どう感じたかに比べれば、どうでもいい話です。

「自分はすごい」と見られたいだけの質問に気をつけよう

人は博識であると見られたいために、自分がすでに知っていることをにおわす質問をしたがるものです。

もしくは、自分が求めている答えが返ってくるような質問をしてきます。 「~だと思わない?」「~って本当?」「~ってそうでしょ?」で終わるものは、良い質問とは言えません。

また、良い質問は「だよね?」で終わることも絶対にありません。

こうした質問は、実はずらす対応がカムフラージュされたもので、話者にとっては本心とは異なる答えや不完全な答え、あるいは質問した人の意見や期待に合う答えを返すように、話者を導いてしまいます。

また、自分を権威づけしたりよく見せたりするための情報が盛りだくさんの、長たらしい質問もご法度です。

「私は景観設計の経験を積んでいまして、私に言わせれば隠れた天才である、セントラル・パークを設計したフレデリック・ロー・オルムステッドを敬愛してやまないのですが、あぁそれから私はいろいろなところに旅をするので、ニューヨークのセントラル・パークやロンドンのセント・ジェームズ・パーク、パリのブローニュの森といったすばらしい公園の不朽の鮮やかさとその人気に感銘を受けておりまして、そこで質問なのですが、緑地空間について考えるとき、大きな志を持つ必要がある、という考えにあなたは同意されますか?」

これは、持続可能な開発に関する討論会で、ある人が立ち上がって実際に質問したものです。こんな人にはならないでください。

ケイト・マーフィ
米テキサス州・ヒューストンを拠点に活動するジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、エコノミスト、AFP通信、テキサス・マンスリーなどで活躍。健康、テクノロジー、科学、デザイン、アート、航空、ビジネス、金融、ファッション、グルメ、旅行、不動産など、多岐にわたるトピックを執筆。特に人間関係や、人がなぜそのように行動するのかを、科学的に分かりやすく解説することに定評がある。

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著者 : ケイト・マーフィ
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(編集 日経xwoman編集部)

[日経xwoman 2021年9月30日付の掲載記事を基に再構成]

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