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国境を越えたデジタルサービスにも課税を目指す(写真はイメージ) =PIXTA

国境を越えたデジタルサービスにも課税を目指す(写真はイメージ) =PIXTA

「法人税の課税ルールが大きく変わるらしいよ。歴史的な国際合意ができたみたいだね」「巨大なIT(情報技術)企業の課税逃れを防ぐのが目的だと聞いたわ。どこがどう変わるのかな」

国際的な法人課税ルールの改革について、バーチャルキャラクターの日比学くんと名瀬加奈さんが小竹洋之編集委員に聞きました。

日比くん「どんな改革が実現するのですか」

経済協力開発機構(OECD)などでの協議を経て、日本を含む136の国・地域が10月に最終合意しました。柱の一つは、各国・地域の法人税に15%の最低税率を設けることです。売上高7億5000万ユーロ(約980億円)以上の企業に適用します。

もう一つは新たなデジタル課税を導入することです。「売上高200億ユーロ超かつ利益率10%超」の条件を満たす多国籍企業約100社が対象で、これらの企業の生産・販売拠点がなくても、サービスの消費者がいる国・地域には一定の課税を認めます。

各国・地域は合意の内容を具体化する国際条約や国内法制の整備を急ぎ、2023年からの実施を目指します。英国やフランス、インドなどは個別に導入してきた独自のデジタル税を撤回し、国際ルールに基づく課税方法に切り替えることになります。

名瀬さん「なぜ国際合意が必要なのでしょう」

法人税の軽減がもたらす経済効果を、過小評価することはできません。ですが1980年代以降の世界的な税率引き下げ競争が行きすぎ、多国籍企業の課税逃れや各国・地域の税源浸食といった弊害が目立つのも事実です。

企業の拠点の有無を重視する100年来の法人課税原則も、グローバル化やデジタル化の時代にそぐわなくなってきました。とりわけ米国の「GAFA」のような巨大IT企業に、適正な負担を求める声が強まっています。

これらの問題に新型コロナウイルス禍による財政の悪化も重なり、国際社会が歴史的な改革で歩調を合わせたのです。低税率のアイルランドやハンガリーなども取り込んだ広範な合意にこぎ着けたのは大きな成果でしょう。

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