AGseedに参加したのは「楽しかったから」
AGseed発足当初から参加しており、現在の運営メンバーでもある3人。どんな思いで参加しているのかを聞いてみると、三者三様だった。
入社9年目の北野さんはこう話す。
「私は、発足当時、今いる広報・IR部ではなく研究開発の部署にいました。毎日、目の前にある仕事に忙殺されていたところ、TOPコミュニケーションに勧誘されたんです。あの頃は視野が狭く、自分が仕事を通して本当にやりたいことは何かを考えていて、より楽しく働くためのきっかけを探していました。
イベントに参加してみると、結構楽しかったんですよね。会社を活性化させるために、我々若手が何かできるのではないかと可能性を感じました。そして、会社をもっと良くしていきたいという思いでAGseedに参加して、運営側としても積極的に活動するようになりました。さらに、会社を変えるためには、団体の域を超えて広報・IR部に行くのがベストだと気づき、異動希望を出して広報・IR部に異動し、今に至ります」
同じく入社9年目の青木さんは、AGseedに参加した理由を2つ話す。
「1つ目は人事として会社の組織・風土づくりをより良い方向に推進していくサポーターでありたいと考えていたから。AGseed参加当時は、工場の人事担当で、ちょうど風土改革を手掛けていたタイミングでした。進め方について悩みを抱えていたこともあり、実践をする場でもある有志の団体活動であれば自分の業務にも生きることがあるのではないかと思い、参加しました。
2つ目は、活発に活動するのが好きだから。学生時代から積極的にいろいろな活動をして、外に出てつながりを広げるのが好きなんですよね。郊外にある工場は他の部署や活動との接点を持ちにくいと感じていたので参加しました。社内外の人と知り合えたり、情報交換することができたりするので、入ってよかったと思います。また、ここでの経験が本業で参考になることもたくさんあります」
入社8年目の冨依さんはこう言う。
「現在、私は研究開発の部署にいます。新しい物を作ったり、未知の現象を発見したり、アイデアから創り出すことが面白いと思っていて、AGseedでいろいろと活動をしていました。その中で特に思い出深い活動の1つが北野とともに今でも活動を続けている『ガラスのスポーツ』(活動の詳細は後述)です。今日までAGseedで活発的に参加しているのは、実際に活動をしてみて新しいことに挑戦する機会が多く、楽しかったからであり、またこのような活動を通して仲間が増えていくところが魅力だと思っています」

もっと楽しくAGCの技術や魅力を伝えたい
現在、AGseedのメーリングリストに登録している社員の数は300人超。コロナ禍で活動がほぼオンラインに移っているためか、ここ1~2年で参加者が急増したという。また、人事部や技術本部といったスタッフ部門と研究開発部門の社員が中心に活動するが、最近では製造部門の社員も増えている。参加者の年次は幅広く、男女比率は全体社員と同様の8対2で、活動内容はさまざまだ。
「もともと島村は、部署や規模、内容を問わずに機動性を持って積極的に若手の活動を推奨していたので、1つの団体として『これをやろう』というより、あちこちで若手社員が集まって活動を始めるというケースが多いです。中には、人事・総務部中心で集まって活動をしているチームもあれば、全社で組織風土を改善するための対話を企画するチーム、各工場にもさまざまな有志活動があります。チームのメンバーが重複していたりもするので、誰が何に参加しているのかが分からない状態になっています(笑)。でも、逆に社内全体に広がっていることなのでいいことだと捉えていますよ。会社が若手を含めていろいろな人のチャレンジを応援する姿勢を示してくれているので心強いです」(北野さん)
この活動は、AGCの魅力や技術を従来型の展示だけでなく楽しく発信できないかと若手社員の間で議論したときに生まれたものだ。たまたまスポーツ好きのメンバーがそろっており、「ガラス×スポーツでアプローチしてみよう!」という発想に発展した。
例えばAGCにはプロジェクターによる映像投映ができる特殊ガラス「グラシーン」がある。みんなで知恵を出し合い、スポーツ弱者をなくすことを目標とする一般社団法人「世界ゆるスポーツ協会」と特殊なガラスを活用した「○×ゲーム」を共同開発するに至った。
子どもたちに○×ゲームを試してもらったときのことを「ガラス上でゲームができることに『うわー、すごーい!』と楽しんで遊んでくれていました。開発者冥利に尽きます」と冨依さんはうれしそうに話す。

他にも、日本ブラインドサッカー協会と一緒にブラインドサッカー用の競技設備向けフェンスを開発したプロジェクトもある。
「日本ブラインドサッカー協会の人たちと話す中で、さまざまな課題が見つかりました。例えば選手は目が不自由なため、プレーを円滑に行えるようコートを囲うフェンスが必要です。フェンスは激しいプレーで耐久性が求められるものの、観客からもプレーが見やすい透明な素材は存在しませんでした。
そういう課題に対してフェンスの『強度』『透明性』『耐候性』という観点からアプローチできないかと思いました。プロジェクトが本格化すると、AGCの若手社員と現場に行き、ヒアリングしながら共同開発を進めました。2018年に合成樹脂のポリカーボネートで作った透明フェンスが完成し、公式試合に導入されています。これはAGCのCSRにも貢献できたプロジェクトになったと思います」と冨依さんは言う。
