AGC若手有志、ガラス×スポーツに挑む 交渉力も磨く

2021/10/27
AGCの有志団体「AGseed」のメンバー。左から、北野さん、青木さん、冨依さん
日経 X woman

企業や業界に有志で集まって切磋琢磨(せっさたくま)している若手の「チーム」がいくつもある。そんなチームを取材して、今の働く20~30代が何を学び、どんな「冒険」や「挑戦」をしようとしているのかを探る。

今回取り上げるのは、AGCの有志団体「AGseed」。メンバーの北野悠基さん(広報・IR部、32歳)、青木沙緒里さん(電子カンパニー 企画管理室 HRグループ、30歳)、冨依勇佑さん(化学品カンパニー 開発部、32歳)に活動の内容と魅力を聞いた。

若手が「生き生きした会社」の種まきをする存在

「自分が若かった頃は、若手社員がもっと生き生き働いている会社だった。生き生きした若手に将来の会社を支える人財になってほしい」――AGseedが始まったきっかけは、社長の島村琢哉氏(現AGC会長)のこの言葉だった。危機感を抱いた島村氏は、若手のモチベーションをどう上げるかが課題だと考え、2015年、島村氏の声がけをきっかけに、若手主催で経営層と若手の交流イベント(TOPコミュニケーション)が開催された。

イベントでは会社の未来についての話し合いなどが行われた。「新鮮かつ刺激的で、若手社員たちの間でも、1回きりで終わらせるのはもったいないという思いが生まれたんです」と北野悠基さんは当時を振り返る。そして「せっかくこの機会で若手同士の横のつながりもできたのだから、有志団体を作って、会社を若手から変えていこう」と考える人が結集し、2015年末、「AGseed」が設立された。

「団体名の由来は、我々若手が自ら種まきをする存在だということから来ています。『未来への種』『風土を変えていく種』『斬新なアイデアの種』の3つの種を生み、育てる場にしようという思いがあり、AGseedという名前になりました」と青木沙緒里さんは言う。

AGseedには統一された目標はない。しかし、活動の軸として「会社を良くしたい」「みんなが生き生きと働ける会社に若手から変えていきたい」という思いがあるという。明確な目標を掲げないことにむしろ良さを感じているそうだ。なぜなら、目標を据えることで仕事っぽさが出てしまうからだ。目標を掲げると、その目標に向かってKPI(重要業績評価指標)を設定するという流れになりがちだ。それよりは、気軽にチャレンジできる場で自己成長し、それを会社の成長につなげていくほうがいいと考えている。

「気軽さ」「ゆるさ」を重視している団体に見えるが、予算面はどうなっているのだろうか。

「会社から予算は1円も出ていません。発足時に団体を引っ張っていたメンバーが『予算をつけられたら会社に縛られる気がして嫌だ!』と言ったんです。島村は、そのように言われてうれしかったみたいです。『それなら、我々は応援するだけだよ』と若手の意見を尊重してくれました。正直に言うと、予算が欲しいときは結構あるんですけどね(笑)」と北野さん。

AGseed内では「社外窓口」を主に担当している北野さん

「実際に物を作りたいというときには、どうしても開発費がかかってしまいます。そういうときにどうやって必要な費用を入手するのかというと、自分の上司の元へ行き、活動の内容を説明し、予算を充ててほしいと依頼します。個人的には、AGseedに予算があったほうがもっと大きなチャレンジができたのではないかと思います。ですが、部署から予算や時間を割り当ててもらう過程で、交渉スキルやマネジメントスキルは磨かれたと思います」と冨依勇佑さんは話す。

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AGseedに参加したのは「楽しかったから」