【レッスン2】「長期的な記憶力」を上げる方法

「ワーキングメモリ」とその活用法を学んだら、次は学んだことを記憶に長期間定着させる方法を学ぼう。学んだことをテキストやノートを見ずに自分の脳だけで思い出したり、言葉にしてみたりする「リトリーバル・プラクティス」が、最も効果的に脳に記憶を定着させる。

【これらに注目!】

脳の力だけで思い出す「リトリーバル」と「ブレインダンプ」
ノートやテキストを読み直すだけの復習は、勉強をやった気にはなるが、記憶の定着効果は低い。復習はテキストやノートを見ずに脳の力だけで学んだことを思い出す「リトリーバル」が効果的。特に学んだことを声に出したり、書き出したりして短時間に一気に思い出す勉強法「ブレインダンプ」は大注目。「記憶だけでなく理解してまとめる力、思考力のアップにつながる効果も期待大です」。

「知らないこと」を認識する「メタ認知」
最近注目されている「メタ認知」。「“自分が知らない”ことを知っている」ということや、「自分の知っている勉強方法やコツは何か」ということ、さらに「目標や計画の立案、進捗や達成度の自己評価」もメタ認知の1つ。「メタ認知には知性や才能の2倍の学習効果がある。知らないと認知すると新しい知識を得たいと思い、快楽を得られる脳の神経細胞物質ドーパミンが分泌され、学習効果がアップ」。

1 昨日の記憶をざっくり「ブレインダンプ」

<1日の始まりに、前日の内容を思い出す>

前日に学んだことの記憶チェックのため、テキストを見ずに思い出すブレインダンプを行う。重要だと思うけれど、内容を忘れてしまった箇所などに△や×の印をつけて認識し、テキストを読み直す。

2 知らないことを認知するだけで記憶力アップ

<勉強する内容をざっと見て、知っていることに○を付ける>

勉強するページの見出しなどを見て、知っていることに〇、興味があることに☆、難しそうと思うところに□などの印を。自分が何に対して興味があるかを認知するだけでも記憶されやすい。

3 学んだことをこまめに思い出す

<1つのセクションを学んだら1~2分のミニブレインダンプ>

1つのセクションや章を読み終えたらテキストを閉じ、1~2分間のミニブレインダンプを行う。何を学んだか、何を重要に思ったかなどを思い出し、メモ。「『学んだポイントを3つだけメモ』などと決めると習慣化しやすい」。

4 すきま時間を使って習慣化

<トイレや歯磨き中に、ミニブレインダンプ>

トイレや歯磨き、入浴など、日常生活のなかに、「~ながら」で学んだことを思い出すミニブレインダンプを取り入れれば、習慣化しやすくなる。「こまめなブレインダンプで記憶力アップ」。

5 「まとめノート」を作るだけでは効果は低い

<1日の勉強の最後にまとめと自己テストを>

一通り学んだら、まとめたノートを作る。見出しや重要なポイントを書いて、その下に説明を書く。まとめて終わるのではなく、説明部分を手や下敷きで隠して、隠した部分を声に出して説明すると効果的。自信がない箇所には△や×を付け、テキストなどでチェック。「テキストの練習問題で復習しても〇」。

付箋などで隠して答える、暗記トレーニング用の「まとめノート」を作る。単語カードも効果的

6 日記が「メタ認知力」を上げる

<就寝前にノートやブログに「学習ジャーナル」を書く>

就寝前や1日の終わりに学習日記をつけて振り返ることで、メタ認知力がアップ。加えて心のメンテにも。「脳科学や心理学でも、もやもやを言語化することでワーキングメモリの負荷を減らし、ネガティブな気持ちの言語化で心の健康を保てることが分かっている。次の日の予定を整理してから寝ると睡眠の質が上がり、脳をしっかり休ませられます」。

下記から2、3点にフォーカスして、5~10分で書く

1 今日の勉強で自分の知識はどう変わった?
2 今日の目標は達成した? 明日の目標は?
3 今日試した勉強法は効果的だった?
4 自分の得意・不得意に関して感じたことは?
5 勉強法の改善点は? 次回にどう生かす?

7 間を空ける「スペーシング」は長期記憶に効果絶大

<10日後と30日後に復習テストする>

学んだ内容をある程度時間をおいて思い出すことを、「スペーシング」と呼ぶ。「翌日、10日後、30日後と思い出そうとする負荷を与えることで脳が活性化し、記憶が定着しやすくなる。間隔を空けるほど、記憶の定着がより見込めます」。

■もっと!記憶力をアップさせる学習法

「教える想定」勉強法
<誰かを思い浮かべて教えるように記憶を呼び起こす>
学んだことを人に説明し、教えることで学習効果はアップ。例えば、勉強している友人と教え合うほうが、ひとりで覚えるよりも脳に定着しやすい。ひとりのときは相手を思い浮かべ、その人に教えるように説明すると記憶定着の効果はある。

「インターリービング」勉強法
<複数のジャンルの内容を交互に勉強する>
1つの題材を集中的に反復学習するよりも、英語のリーディングの後にリスニングをするなど、複数の題材を混ぜ合わせて学ぶ「インターリービング」のほうが脳に定着しやすい。ただし、同じジャンルの題材をある程度覚えてからが条件に。

この人に聞きました

星 友啓さん
スタンフォード大学オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年東京都生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。スタンフォード大学哲学博士修了。同大学哲学部の講師を経て、2016年から現職。新著に『脳科学が明かした!結果が出る最強の勉強法』(光文社)。

(構成・文 高島三幸)

[日経ウーマン 2021年10月号の記事を再構成]