地球と人類のため

ネットの起源や本来の意義をめぐる対話も読みどころだ。例えば、コンピューターは「計算する機械」にすぎなかったが、どのハードウエアにも適応する基本ソフト(OS)のユニックス(UNIX)が登場したおかげで「人間のために働く機械」へと進化した。この時に生まれた「人間を支えるコンピューター」というコンセプトがインターネットのルーツだと村井氏。今でも、「人間の創造性」や「夢の実現」のために環境を整えることを目指してインターネットの研究を行っているそうだ。

次世代は何をすべきか、という問いに、村井氏は「インターネットは人類が作ったグローバルな空間」なのだとメッセージを送る。それを受けて、地球規模で物事を考えるのは、地球上のあらゆる人間がつながっている体感を得てこそだと、竹中氏は応じる。一方で村井氏は、ネットへのアクセスは「人権」であり、誰もが使える環境を整えるべきだという国連の議論に対して懸念を示すことも忘れない。インターネットは国家権力の関与から離れて自由なものである、というのが“ネットの父”の見解だ。

「地球と人間」のために存在するのが目指されるインターネットの姿。成り立ちを意識しないほど当たり前になったからこそ、本書で語られる理想像は示唆に富む。

今週の評者 = 倉澤順兵
情報工場エディター。大手製造業を対象とした勉強会のプロデューサーとして働く傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。東京都出身。早大卒。

DX時代に考える シン・インターネット

著者 : 村井 純
出版 : 集英社インターナショナル
価格 : 880 円(税込み)

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