ネット界の先駆者2人が語り合う デジタル化の未来像『DX時代に考える シン・インターネット』

2021年9月に「デジタル庁」が発足した。コロナ禍に際して、感染者数をファクスでやり取りする行政のアナログさが目立ったが、デジタル庁の誕生で日本社会全体のデジタル化は進むのだろうか。

こうしたホットな話題にも触れながら、日本のデジタル化の来し方行く末を俯瞰(ふかん)するのが本書『DX時代に考える シン・インターネット』だ。インターネットの発展に貢献し“日本のインターネットの父”と呼ばれる村井純氏と、いち早く音楽ライブのネット配信などを行っていたプログラマーの竹中直純氏の対談集。日本のネットの歴史をよく知る2人が、デジタル社会への課題やネットに期待される役割などを、縦横無尽に語り合っている。

「優しすぎ」て進まない

まず、冒頭にあるような行政のデジタル化の遅れについて。コロナ禍でいちばん在宅勤務ができていなかったのが霞が関だと村井氏はいう。霞が関を皮切りに、都道府県、基礎自治体、民間……とデジタル化を進める道筋を提案する。日本はネットインフラの基盤がしっかりと構築されており、トップが本気になれば、5年ほどの短期間で、台湾のような一貫した公共サービスのデジタル化は可能になるはずと力強く説く。

デジタル化が遅れる一因として、役所が「優しすぎ」たとの指摘も面白い。デジタル音痴への配慮が現状維持につながったというのだ。ではそんな優しさを逆手にとって、例えば地域の若者が高齢者にコンピューターやネットワークの知識を伝える「お助け隊」をつくり、自治体が雇えばいい、と村井氏はアイデアを披露する。草の根的だが、世代間の交流やITスキルの底上げとしても魅力的な提案だ。

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