
企業も個人も変化を求められる時代、危機感からいち早く行動を起こした人たちの学びは、仕事にどんな変化をもたらした? 仕事から離れた学びの楽しさと、その影響も聞きました。
【ケース1】航空会社で働く彼女の学び

日本航空 客室本部客室フライトオペレーション部マネジャー
夫と子ども3人と5人暮らし
最近のハマりごと/アゲハ蝶の飼育、ボクシング式有酸素運動

日本航空の加藤恵美子さんが学びに目覚めたのは、3児を育てつつ国内線に乗務していた41歳のとき。当時会社は経営危機に直面。指導する新人や自身の働く意義や今後について葛藤し、キャリアカウンセリングの勉強を始めた。働く人の心をもっと深く学びたいと心理学にも興味を持つように。
「でも不規則勤務のため大学院で学べるのは定年後と思っていたら、折よく地上勤務に。今しかないと、一念発起」。2016年から筑波大学社会人大学院で心理学を専攻。職場のパフォーマンス向上に役立つポジティブ心理学の研究に励んだ。朝6時半の電車で出勤し、平日夜3日と土曜は大学院へ。帰宅は22時過ぎという日々を2年間送る。
修了後、管理職となり、学びを生かして部下の育成を担当。今は部下がいない職務だが、ライン管理職への異動も見据え、コーチングも学び始めた。「全乗務員が一体感を持てたフライトは達成感が格別。皆がより生き生きと活躍できる職場を目指し、もっと学び貢献したいです」。
【習慣化の秘訣】通勤時間をフルに活用
家・会社・大学院の移動時間が勉強タイム。「細切れ時間のほうが集中でき、繰り返し学習するため記憶にも残る。机に長時間向かうより効果的」。
【覚えるコツ】当日中の復習をルール化
24時間以内の復習が記憶定着率を高めるとのウォータールー大学の研究結果を実践。疲れても授業当日に必ず復習。次の授業前にもさっと見直す。
【学びのモットー】できない理由を考えない
多忙、年齢、能力など「できない理由」は無限に見つかるので、「できる理由」だけに集中。「始めさえすれば半分は成功したと考え、続けるのみ」。
仕事に直結する学びは「ポジティブ心理学」
行動の裏にある「心情」が分かるように
ポジティブ心理学は、幸福を科学的に調査し、職場の多幸感増大や業務パフォーマンス向上につなげる学問。「学んだ最大の成果は、部下やお客さまの発言や行動の裏にある心理を理解し、プラスの働きかけができるようになったこと。部下の個々の強みに光を当てることが意欲の向上につながりました。今年になってからも当時のメンバーが昇格の報告に来てくれ、うれしかったです」。




仕事に直結しないけど楽しい学びは「アイヌ民族文化」
「ゴルカム」にハマり、SDGsにもつながる
「付箋を付けて読む」ほどマンガ『ゴールデンカムイ』に傾倒。描かれたアイヌ民族の世界観に魅了され、北海道へ。「アイヌ民族関連の施設を巡り、資源を取りつくさず、捕まえた獲物の骨や皮まで使い切るアイヌ民族の文化は、究極のSDGs(持続可能な開発目標)と実感」。SDGsへの興味が高まり、SDGs検定を受験。SDGsを学ぶイベントに参画するなど、社内のSDGs活動の旗振り役にも。

