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女性活躍推進法の成果は見えてきた?(写真はイメージ=PIXTA)

女性活躍推進法の成果は見えてきた?(写真はイメージ=PIXTA)

2022年4月1日から女性活躍推進法に基づく行動計画の策定や情報公表などを義務付けられる対象が現在の従業員301人以上の企業から101人以上の中小企業までに拡大します。

15年8月に成立した女性活躍推進法は、10年の時限立法として16年4月に全面施行されました。そこから5年以上経過した現在、女性の活躍は進んでいると言えるでしょうか。

女性活躍推進法は、女性が職業生活において十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するために、国・地方公共団体・企業の責務などを定めたものです。背景には、急速な少子高齢化の進展や、育児・介護と仕事の両立を可能とする多様な働き方への対応などがあります。

女性活躍推進法では義務の対象となる企業に対し、数値目標を含めた行動計画の策定やそれを都道府県労働局に届け出ることなどを求めています。

21年9月末時点における行動計画の届け出企業数は、301人以上の企業で1万6628社(届け出率97.0%)となっており、行動計画への取り組みが進んでいるとすれば、そろそろ成果が見えてくる時期と言えるでしょう。

まだまだ従業員に浸透していない行動計画

22年4月から中小企業へ対象範囲が広がることで、策定に取り組む企業も多いと思います。そもそも、同法が企業に求める行動計画とはどのようなものなのでしょうか。

ここでいう行動計画とは、企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえて策定することになっています。企業にとっては、計画期間、数値目標、取り組み内容、取り組みの実施時期などを具体的に盛り込む必要があります。

なかでも、必ず把握すべき基礎項目には以下の4つがあります。

・採用した労働者に占める女性労働者の割合※
・男女の平均継続勤務年数の差異※
・労働者の各月ごとの平均残業時間数など労働時間の状況
・管理職に占める女性労働者の割合

※印がついている項目は、雇用管理区分(正社員、契約社員などの雇用形態や事務職、技術などの職種)ごとに把握を行う必要があります。

この基礎項目以外にも、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」について、企業ごとに項目を選択し、把握した状況から自社の課題を分析して数値目標など定めます。

こうして策定された行動計画は、社内周知と外部へ公表することが義務付けられています。301人以上の企業では、次表の(1)(2)それぞれ1つ以上、101人以上300人以下の企業は(22年4月以降)以下の項目から1つ以上選択して、情報公表を行わなければなりません。

21世紀職業財団の「男女正社員対象 ダイバーシティ推進状況調査」(20年度)によると、自社の行動計画の内容を知っている(「おおよそ知っている」を含む)従業員は、1万人以上の大企業であっても男性32.6%、女性40.9%と半数に満たないことが明らかになりました。この認知度は企業規模が小さくなるほど下がり、300人~499人規模の企業では男性16.4%、女性18.2%と8割以上の従業員が行動計画の内容を知らないのです。これでは、行動計画を策定した効果も期待できないのではないでしょうか。

女性の活躍に関する情報公表や他社の行動計画については、厚生労働省「女性の活躍・両立支援総合サイト」内の女性の活躍推進企業データベースにおいて検索して閲覧することができます。ビジネスパーソンの皆さんにはまず、自社がどのような数値目標を立てて取り組みを行っているのか、確認していただければと思います。

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