変化が未来の標準つくる

――取引書類の電子保存を義務付ける改正電子帳簿保存法が1月に施行されました。企業の経理業務はどう変わりますか。

「請求書に消費税額を記載するインボイス(税額票)制度が始まる来年が本番だと思っています。税務手続きに必要な書類に関する考え方が大きく変わる。新制度に対応するために従来の経理業務システムを見直し、効率的なやり方にする良い機会です。変化に対しもっとすごいスタンダードをつくっていきたい」

――具体的には。

「紙で受け取った請求書や領収書をスマートフォンで読み込んで、複雑な会計や手続きをデジタルで自動処理できるペーパーレスを当たり前にしたいです。ただデジタル取引は聞こえは良いですが、実現するのに技術的なハードルが残っており、本当に普及するのか懐疑的な意見の人も少なくない。広めるためには企業間の取引を単純化して、どうデジタルで置き換えるか検証をしながら進めなければなりません」

――デジタルマネーでの給与支払いや企業間決済が期待されています。

「本当にビジネスとして収益につながるかはまだ分かりませんが、ユーザー体験を向上させるチャンスだと思います。例えば企業間取引では注文した商品が納品された時に速やかに決済できれば、事務コストが減り、ビジネスとしての価値創出につながるのではないでしょうか」

(岩田夏実)

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海の上でリフレッシュ

週末は海に出かける。大きめの板に乗りパドルをこいで前に進む水上スポーツ「スタンドアップパドルボード(SUP)」でリフレッシュする。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに2年前に始めた。「全身を使うため、ジョギングより開放感がある」と話す。風のない日は沖までこぐこともあり、海から陸を眺めると気持ちが良い。波の高さや風の強さは日々異なり、海の表情の違いも楽しめる。レースへの参加は「まだまだ修行しないといけない」。

ささき・だいすけ 1980年東京都生まれ、美容院を営む家庭で育つ。一橋大学商卒、博報堂に入社。投資ファンドやAIサービスのALBERTを経てグーグルに。企業向けマーケティングに携わるなかで、先代、先々代から受け継いだ顧客基盤の範囲でしか仕事をしていない日本の中小・零細企業のビジネス環境に疑問を持つ。12年にフリーを起業し最高経営責任者。19年12月東証マザーズに上場。一橋大学経営協議会委員も務める。2児の父。好きな言葉は「マジ価値」。
■リーダーを目指すあなたへ
リーダーシップはポジションに関係なく、どんな局面でも発揮できます。リーダーになってから初めて意識し始めるのではなく、普段から意識し続けて行動することが大事です。

[日本経済新聞夕刊 2022年7月7日付]

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