失敗恐れず、教訓に生かす

――社内コミュニケーションで工夫はありますか。

「誰でも見られる社内SNS(交流サイト)があります。最近気になっていることや面白いと思うもの、プライベートであったことを相手に関係なく『あえて共有』しようと呼びかけています。共有してもらった情報からその人の理解が深まり付き合いやすくなると考えています」

――ゼロから事業を立ち上げました。大きな失敗はありましたか。

「大きな失敗は2018年10月に起きた約2時間半にわたる障害です。特定の機能が利用できなくなったのですが、影響が出た範囲をすぐに把握できなかったため全サービスを停止しました。それ以降、毎年10月に全社で障害訓練を実施しています。障害を完全に無くすことは難しいですが、わずかな障害にもすばやく対策を講じられるようになりました。失敗を怖がることは何も試していないことと同じです。まずは失敗を許容できる範囲で試してみて、仮に失敗しても今後の教訓に生かせば良いのです」

「最初は失敗でも後になって花開くこともあります。例えば会計ソフトのモバイルアプリを出した当初は利用者が伸びませんでした。しばらくしてスマートフォンが普及すると、会計ソフトのアプリも使われ始めました」

――19年に東証マザーズ市場に上場しました。投資家との対話から何を学びますか。

2019年に東証マザーズ市場へ上場した

「海外の投資家はソフトウェア業界や、クラウド経由でソフトを提供するSaaS(サース)業界にとても詳しいです。『海外の企業はこういう取り組みをしている』といった情報からインスピレーションを受けます。投資家は事業面だけでなく新型コロナウイルスの影響など世の中の動きを踏まえた質問をします。突っ込まれたことに対してシャープな答えをできない場合は、自分たちは重要な視点が抜けていると気が付くきっかけになります」

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