最強のタッグ 日本企業とシリコンバレーが手を組む日『シリコンバレーは日本企業を求めている』

米西部カリフォルニア州のシリコンバレーから画期的な技術やサービスが次々と生まれる一方、日本は「失われた30年」の経済停滞の中にある。世界に飛躍するスタートアップを育ててきたシリコンバレーに対し、日本は「イノベーションを起こすのが難しい国」という不本意な評価が定着気味だ。

しかし、日本企業は、シリコンバレーのスタートアップと組むことで活性化できると説くのが、本書『シリコンバレーは日本企業を求めている』。著者は日本で工学博士を取得した経歴をもつシリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)の最高経営責任者(CEO)アニス・ウッザマン氏と、法政大学大学院教授で一橋大学名誉教授の米倉誠一郎氏。両氏は2016年に一橋大学のイベントで知り合ったという。

シリコンバレーから見る日本企業の魅力

米倉氏は、日本経済の低成長や生産性の低さ、競争力低下、政治・経済・企業システムの劣化といった複数の課題を指摘する。これらを同時解決する手法として、大企業がベンチャー企業に投資する「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)」がその活路になると説く。特に日本企業がシリコンバレーのVCと組み、カネだけではなく、ヒト、モノ、情報をフル活用する「CVC4.0」に取り組むことを提唱する。事業会社と外部のVCが1対1でタッグを組み、専用のファンドを設立して運用する手法だ。

ウッザマン氏によれば、世界トップ企業の多くはCVCを通じ有力なスタートアップに次々と出資し、ダイナミズムを取り込んで成長している。一方、日本では1980年代半ば以降、「1.0」から「3.0」まで3度のCVCブームがあったが、いまだ成功例は少ない。その理由として、スタートアップの事業拡大を支援できない、人材がいないなど多くの課題を指摘する。ただし、シリコンバレーのスタートアップからすれば、日本企業の技術力や組織力の高さ、信頼性などは大きな魅力という。

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スタートアップに「選ばれる力」を持つ