CVC4.0は双方に最適な解を提供する。日本企業からすれば、ナレッジ(知識)や人材の不足などを補える。スタートアップには、他社からの追加出資を受けやすいなど、一般的なCVCにはないメリットがある。

スタートアップに「選ばれる力」を持つ

スタートアップを「選ぶ」つもりの日本企業に足りないのは、「選ばれる力」かもしれない。逆にいえば、選ばれる力があれば、たとえ日本の中堅企業でもシリコンバレーの有力なスタートアップとタッグが可能という。例えば、売上高500億円規模のシステムインテグレーターであるCACホールディングスは、ウッザマン氏の運営するVCを通じた「CVC4.0」において、2016年に人間の感情を認識する人工知能(AI)を手掛ける米マサチューセッツ工科大学発のスタートアップ、米アフェクティバに約1億円を投資。すぐに販売代理店契約を結び、幅広い業種に展開した。ウッザマン氏によると、CACホールディングスは大手金融機関や自治体などの顧客を持ち、海外のシステムを日本向けにローカライズした実績があるなど、選ばれる力があったという。

「0から1へ」の創造性に優れたシリコンバレーと、「1から100へ」の経営管理・品質管理に優れた日本企業は、最強の相互補完になるという米倉氏の主張は、説得力がある。世界が日本企業に期待することを知るためにも、本書は参考になるだろう。何より、日本企業の備えるポテンシャルを確信できる一冊だ。

今週の評者 = 前田真織
2020年から情報工場エディター。2008年以降、編集プロダクションにて書籍・雑誌・ウェブ媒体の文字コンテンツの企画・取材・執筆・編集に携わる。島根県浜田市出身。

シリコンバレーは日本企業を求めている 世界が羨む最強のパートナーシップ

著者 : アニス・ウッザマン/米倉 誠一郎
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,760 円(税込み)