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日経 X woman

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書を、ブロガー・作家のはあちゅうさんはどう読み解いたのでしょうか。

「炎上予防書」としておすすめ

今、フェミニズムが再注目されて、雑誌などで特集されていることもありますよね。関連本も出ていますが、その中でも『#駄言辞典』はパッと手に取りやすく、いろいろ考えるきっかけになる本だと思いました。

本を読んで、仮にフェミニズムの概論を知ったとしても「じゃあ具体的にどうすればいいの?」というところで足踏みをしてしまいがちではないかと思うんです。でも『#駄言辞典』には「こういう考え方がダメだ」ということが凝縮されていて、面白く、かつ、学びながら読めました。

ジェンダーに関して、すごくデリケートな話題を雑に扱ってしまって炎上する広告も多いので、企業の広報担当者などが「炎上予防書」として読むのもおすすめです。

「『#駄言辞典』はパッと手に取りやすく、いろいろ考えるきっかけになる本だと思いました」(はあちゅうさん)

「『#駄言辞典』はパッと手に取りやすく、いろいろ考えるきっかけになる本だと思いました」(はあちゅうさん)

「言わないように気を付けよう」と思う駄言も

第1章の駄言リストには「分かる、分かる」と共感するだけではなく、「つい言ってしまいがちだから、自分も気を付けよう」と思ったものもありました。

本にあった「主婦感覚で」「女子会」「女子が好きなやつ」「女性におすすめ」といった言葉は、特に無意識に悪気なく言ってしまいがちですが、これらはステレオタイプの押しつけですよね。今後は、こういう言葉には気を付けないといけないんだな、と肝に銘じました。

「さすが主婦感覚!」
職場でコスト減になる意見を言ったら言われた。いや、ここ婚姻の有無関係ない話だろう? とにかく勝手にくくらないで。真剣に考えた私の意見です。
『#駄言辞典』83ページより

「女子が好きなやつ」
テレビでのグルメ特集でこのセリフが聞こえてくると一気に萎えてしまう。マーケティングなんかの結果、食の好みに性差があるかもしれないけど、いわゆる「女子が好きなやつ」を好きな男性がそれを好きだと言いにくい、食べにくい、恥ずかしいとなる場合もない?
『#駄言辞典』44ページより

「女子会」
全員がアボカドサーモン食べてません。立ち飲みとか日本酒とか好きなんです。

「女性にオススメの味です」
味覚を性別で分けないでください。
『#駄言辞典』45ページより

女らしさという表現を使わない場合

同時に、今まで使ってしまいがちだった言葉(駄言)を、どう言い換えればいいかということも考えました。

例えば、ママ友のインスタに「最近、(私は)女らしさを捨ててる」と書いてあるのを見て、ここで「女らしさ」を使わないとしたらどう言い換えるのが適切か、考えてみました。「最近、キレイを捨てている」とか言えばいいのかな? でもそれだと、「キレイ」=「良いこと」という「価値観の押しつけ」問題からは離れられていない気がするし……。こんなふうに、一回一回、「難しいな」と思いながらも、自分で悩みながら考えていくことこそが、ステレオタイプのない社会に移行するためには大切なのではないかと思います。

男の子らしさに関する駄言も興味深く読みました。うちの息子は車が大好き。車のおもちゃで遊んでいる写真をSNS(交流サイト)にアップすると、「やっぱり男の子ですね」「男の子だから車が好きなんですね」というコメントが付くこともあります。でも、「男の子だから車が好き」というのもステレオタイプなんですよね。

夫の感想は「なんでダメか、分からない箇所もある」

夫にもこの本を読むようにすすめてみました。「ジェンダーに関する発言で、けんちゃん(夫)が炎上したら嫌だから、この本を読んでみて。知っているだけでも全然違うから」と渡してみたんです。夫は読んでくれて、「なるほどね~」と理解を示しつつも、「なんでダメなのか、よく分からない箇所もある」と言っていました。

夫は私より7歳年上で、私以上に「男尊女卑」的な考えが残っている時代に生きてきた背景があるのかもしれません。「『男は度胸』『男のプライドだ』とかもうかつに言ってしまうかも」と言っていました。

夫が「なんで駄言なのかが、正直よく分からない」と言っていたものは、例えば、次の2つ。

「男だけでディズニー(自虐トーンで)」
すべての属性の人に対して失礼。

「スイーツ男子」
『#駄言辞典』201ページより

こういった言葉は、メディアや仲間同士の会話で使われがちです。使う側に罪悪感はないかもしれませんよね。

「この本に掲載されている駄言は、全部言っちゃダメだよ」という簡単な話でもない。駄言になる確率が100%に近いフレーズもあるし、「全員ではないけれど、言われた相手を不快にする場合もある」というフレーズも載っています。この本は、読んで一人ひとりが考えなければいけないんです。そこが難しくもあり、大切なところでもあります。

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