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「会社の上司や先輩に駄言を言われたら、しっかりと指摘する」と語る塚越さん

「会社の上司や先輩に駄言を言われたら、しっかりと指摘する」と語る塚越さん

日経 X woman

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに紹介している本書を、東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 チーフコンサルタントの塚越学さんはどう読んだのでしょうか。前回の続きです。

駄言は、現実と意識の間にギャップがあるときに生まれる

ある人が、自分の思っていることと目の前の現実の間に何らかのギャップを感じ、違和感を持ったときに、問題のある発言を言ってしまう。それが駄言になり得る。言った当人には悪気がないことのほうが多いのでしょう。

前回の記事では、駄言を言われて嫌だと思ったら「嫌だ」という意思表示をすることが大事だと述べました。しかし、「嫌だ」と意思表示することが大事な場面と、あえて意思表示をしなくてもよい場面もあると思っています。

例えば、私が夕方にスーパーで買い出しをしたり、学童保育に三男を迎えに行って帰ってきたりすると、近所のおばあちゃんから声を掛けられます。「お父さんが買い物するなんて偉いわね」「お迎えスゴイわね」って。朝、私がゴミを出すときも同様です。私は当たり前のことをしているだけなので違和感があるのですが、別にここで「それは違いますよ」と、おばあちゃんの価値観をアップデートする必要はないと感じています。でも、これが会社で上司や先輩に言われた場面だったら、しっかりと指摘して相手に考え方のアップデートを促します。相手が「知らないでは済まされない」立場の人たちであり、周囲に与える影響が大きい人たちだと思うからです。

さて、『#駄言辞典』の中では以下のような駄言が紹介されていました。

「えっ男なのに育休取るの?」
『#駄言辞典』112ページより

「育休明けに居場所なくなってないといいね」
長めの育休を取る前日に言われた一言。いまだに強烈に覚えている。言った人のことは一生忘れない(怒)。
『#駄言辞典』182ページより

法律改正は自分をアップデートするチャンス

これに関連して、今、日本の企業に大きな影響を与える法律として、2021年6月に成立した「改正育児・介護休業法」があります(22年4月から段階的に施行)。これにより、男性は子どもが生まれた8週間以内に最大4週間の「出生時育休(男性版産休)」を2回に分けて取得できるようになりました。また、従来の育休も2回に分けて取得できるようになります。

でも、この法律を企業の経営者が認識して実行していくかどうかはこれからにかかっています。

例えば、15年8月に成立した法律に、「女性活躍推進法」があります。成立後、約6年が経過する中、改正の都度、一般事業主行動計画の策定義務の対象が大企業から中小企業へと拡大されています。しかし、従業員数101人以上300人以下が対象となる22年4月施行の改正に関して、名称・内容の認知度について「認知が十分でない」中小企業経営者は76.9%という調査結果(20年9月発表の日本・東京商工会議所「多様な人材の活躍に関する調査」)があるのです。この法律を順守しなかった際の罰則規定がないからかもしれませんが、法治国家において法律が実践されない可能性の高さは大きな問題でしょう。

法律が変わるタイミングは、私たちをアップデートしなければならない重要な機会です。「改正育児・介護休業法」が成立したのに、「うちの会社にこれから子どもが生まれそうな社員はまだいない」「うちの会社には関係ない」などと考えてしまう経営者がいるかもしれません。また、「うちの職場は変わらない」「うちの夫は変わらない」などと思ってしまう個人がいるかもしれません。しかし、こうした「つい斜に構えてしまう」姿勢を変え、変化を素直に受け入れる姿勢を大事にすべきです。

たとえ自社内で変化を感じられない経営者も、社外で取引先の男性担当者が「子どもが生まれるので育休を取ります」と言うのを聞いて、「ああ、これか!」と自分ごとにできる場合があります。働く社員たちが、従業員の権利として経営者に要求していくことで自社内に変化をもたらすことも大事です。

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